2023ヤクルト髙津流 躍動の燕マネジメント

大谷選手ら集う侍Jに4選手を送り込む思い…
そしてリーグ3連覇、日本一奪還に向けて

あえて今年は、「悔しさを引きずって戦う」

――昨年のキャンプ終了時点では「壮真がMVPだ」と語っていましたが、今年は一転して大ベテランの「石川雅規、青木宣親がMVPだ」と話していました。両ベテランについては、どのように見ていますか?

髙津 チーム全体の明るい雰囲気とか、若手がのびのびとプレーできるのは、石川と青木の立ち居振る舞いであったり、存在感であったりというのがとても大きいです。監督やコーチが目をギラギラ光らせて抑えつけることでは、のびのびとプレーできません。チーム全体が明るく、前向きに、そして元気に取り組むことができるのは、彼らの存在がすごく大きい。そういう意味で、「石川と青木がMVPだ」と言いました。

――いよいよ、3月9日からはWBCが始まります。大谷翔平選手、ダルビッシュ有選手らメジャーリーグのトップクラスが集まる侍ジャパンに、ヤクルトからは山田哲人、村上宗隆、中村悠平、そして高橋奎二選手が選出されています。東京オリンピックの際には「とても光栄なこと、日本のために頑張ってほしい」と発言されていました。今回については、どうお考えですか?

髙津 個人的な考えを言えば、すごく嬉しいです。代表メンバー30人の中で4人も選ばれたのですから、とても誇らしいことです。ただ、正直言えば、開幕直前のこの時期に主力が4人抜けるということは、チーム編成を考えるととても痛いのはありますね。野手3名に関しては「ケガしないで帰ってきてほしいな」という思いです。一方の奎二については、もちろん故障にも気をつけてほしいけれど、WBCではどのような起用法になるのか、どのような調整ができるのか? この辺りは不安もあります。もちろん、いろいろ想定はしているけれど、「たぶん、想定通りにはならないだろうな」という思いもあります。その点はちょっと気がかりではありますね。あとは、人数が足りないので、一、二軍の編成が難しいです。でも、大谷選手はもちろん、世界最高峰の選手が集まる大会ですから、選手たちには頑張ってほしいし、何かを学びとってきてほしいと思っています。

――大会期間中の選手起用については、完全に栗山英樹監督に一任するということですからね。

髙津 もちろんです。侍ジャパンは栗山監督のチームだから、こちらから「ああしてくれ、こうしてくれ」という注文はまったくないです。栗山監督が思うように起用してくれたら、それでいいと思っています。

――さて、冒頭でもお話したように、今年もシーズンを通じて、監督の思いを伺っていきたいと思います。球団史上初となるリーグ3連覇、そして日本一奪取に向けて、改めて意気込みをお願いします。

髙津 この1年に関しては、間違いなく「悔しさを持って戦おう」と思っています。これは1月31日のキャンプイン前日のミーティングでも言いましたし、1月中に行われたスタッフ会議でも言いました。僕は、今でも去年のことが悔しいです。普通は「新しいシーズンが始まるのだから、新しい気持ちで戦おう」となるのかもしれないけど、僕はあえて今年は悔しさを引きずって戦うつもりです。この悔しさを晴らすのは、来年でも再来年でもなく、今年です。今年は、昨年の悔しさを晴らすシーズンにする。その思いを常に持って戦います。

過去の連載をまとめた髙津臣吾監督のビジネス書『明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと』が大好評発売中!

――力強い言葉です。ぜひ、今シーズンもよろしくお願いいたします。

髙津 こちらこそ、リーグ3連覇、そして日本一奪取に向けて、チームスワローズ一丸となっての「応燕」をよろしくお願いします!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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