2023ヤクルト髙津流 躍動の燕マネジメント

大谷選手ら集う侍Jに4選手を送り込む思い…
そしてリーグ3連覇、日本一奪還に向けて

2022年、盤石といえる強さでセ・リーグ2制覇を果たした髙津ヤクルト。主力、ベテラン、若手がそれぞれの役割を果たし、まさにチーム一丸となって勝利をもぎとった。
追われる立場の今シーズン、髙津監督はどんなビジョンを持ち、ここからどのようにチームを進化させていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

「基本を徹底し、競争を通じてもっと上手になる」

――就任4年目であり、球団史上初となるリーグ3連覇、そして日本一を目指す2023年シーズンもペナントレースと同時進行で、監督が日々考えていることを伺っていくこととなりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

髙津 過去3シーズン同様、この連載を通じて、僕の本音や毎日の感情、日々考えていることをお伝え出来たらいいなと思っています。今年もよろしくお願いします。

――さて、沖縄・浦添でのキャンプも終わり、現在はオープン戦の真っ只中ですが、2年ぶりの日本一を目指す今シーズンのキャンプはどのようなことを意識して臨んだのですか?

髙津 別におろそかにしていたわけではないけれど、守備にしても、攻撃にしても、走塁にしても、「改めて基本を徹底しよう」という思いで臨みました。基本を洗い直し、自分たちがうまくできなかったことをしっかりできるように。そんなことを、事前に選手、コーチ、球団の方に伝えた上でキャンプインしました。

――古い話になりますが、1992年の日本シリーズで西武に敗れた野村克也監督は、前年日本シリーズの反省を踏まえ、キャンプ初日にスライディング練習から始めました。監督の中には、日本一を逃した昨年の経験はどのように意識されたのですか?

髙津 キャンプインに際してみんなに言ったのは、先ほど言ったように「細かいことを徹底しましょう」ということ。次に、すごく単純なことなんですけど、「このキャンプでもっと上手になって下さい」ということ。そして三つめは「することと、しないことをしっかり意識するように」と伝えました。

――「すること、しないこと」とはどんなことでしょうか?

髙津 これもシンプルなんですけど、「すること」というのは、「みんなで競争すること」。そして、「しないこと」とは、「ケガをしないこと」という意味でした。結果的に故障者が出て、実行できなかった部分もありましたけれど……。

――昨年の日本シリーズに先発した、プロ2年目の山下輝投手、不動のリード・オフ・マンとして期待のかかる塩見泰隆選手など、故障によって離脱するケースもありました。

髙津 選手個々に関しては、一生懸命にやっていました。さっき言った「もっと上手になって下さい」という言葉を意識しながら頑張ってくれたので100点をあげてもいいと思います。ただ、「ケガをしないこと」に関しては、我々で防げるケガもありました。僕自身はトレーナーではないけれど、もう少し選手の身体についてチェックしておけば、防げたケガもあったと思います。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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