2022東京ヤクルトスワローズ髙津流 熱燕マネジメント

いよいよペナントレースも佳境へ――
髙津監督が捉える「チームの今」と、大記録へ挑む村上への信頼

2021年ついにセ・リーグ制覇、日本一を成し遂げた髙津ヤクルト。その悲願の裏には「絶対、大丈夫!」の言葉が物語る、髙津臣吾監督の卓越したチームマネジメント力があった。
王者として迎える2022年シーズン、髙津監督はどのように戦い、どのようにチームを進化させていくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

――優勝マジックが再々点灯し、Ⅴ2に向けて一歩ずつ進んでいます。これまでの監督の発言を考えると、もちろん楽観視はしていないと思いますが、現在の心境を教えてください。

髙津 全体的に「これじゃ、ダメだな」という思いで見ています。交流戦から7月上旬にかけて、投打が噛み合ういい時期が続いていたので余計にそう思うのかもしれないけど、その頃のチーム状況と現在とでは、投打ともにかなりかけ離れていると思います。

――7月上旬に続き、9月に入ってからも新型コロナウイルス陽性者が続出し、戦力がそろわない中での苦しい中での戦いが続いています。

髙津 技術的な面は、それぞれのコーチがいろいろ研究したり、対策を立てたりして選手たちに伝えていますけど、なかなかチームの状態が上向かないのが現状です。打線が打てなくても投手で勝てるとか、投手がやられても打線がカバーして打ち勝つというのが理想だし、投打そろって好調なのがいちばんいいけど、それは長い時期あるわけじゃない。今はその逆に投打ともに苦しい状況だけど、それも必ず乗り越えられると思っています。

――投打ともに苦しい時期の打開策、起爆剤についてはどうお考えですか?

髙津 どうですかねぇ……、何かいい方法があれば教えてほしいですけど(苦笑)、今、僕が言えることは、やるべきことをしっかりとコツコツこなすこと。そして、「成功するんだ」という強い思いを持って努力を怠らないこと。それがいちばんだと思います。投げやりになったり、「もうダメだ」とあきらめたり、そういうことがいちばんダメで、そうならないように意識はしています。

――現在は、以前から「勝負の時期だ」と目していた10連戦の真っただ中にあります。以前のこの連載では「勝負の時期にはムチを入れる」と話していましたが、今はムチを入れている状態なのですか?

髙津 うーん、「ムチを入れたかどうか?」ということで言えば、まだムチは入れていません。今後、ムチを入れる時期はくるのかもしれないけど、まだわかりません。

――コロナ禍によって選手が離脱している状況では、ムチを入れたくても入れられないということでしょうか?

髙津 いや、まだそのタイミングではないと考えているからです。状況によっては、もしかしたら、「明日からムチを入れよう」となるかもしれないけど、今はまだその時期ではないと考えています。これ以上、詳しいことはまだ言えないですけれど……。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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