2022東京ヤクルトスワローズ髙津流 熱燕マネジメント

いよいよペナントレースも佳境へ――
髙津監督が捉える「チームの今」と、大記録へ挑む村上への信頼

入団時から何も変わらぬ村上宗隆の人間性

――さて、改めて村上宗隆選手について伺います。プロ5年目の今シーズン、さまざまなホームラン記録を塗り替えています。今季の村上選手についてどう見ていますか?

髙津 まずは技術的に大きく成長したと思います。選球眼もよくなったし、三振の数も減ったし、バットの芯に当たる確率も高くなりました。それはもちろんすごいことなんだけれど、僕の印象としては、悪い意味ではなくて、彼がプロ入りしてきたときからずっと変わらない「そのままのムネ」だという感じがします。

――村上選手のプロ1年目、徹底的にファームで鍛えるという方針が採られました。このとき二軍を指揮していたのが、髙津監督でした。いい意味で、その当時と人間的な面で何も変わっていないという印象でしょうか?

髙津 もちろんそうです。彼が持っている一生懸命さ、負けず嫌いなところ、当時18歳だったけれど、物怖じせずに自分の意見を言えるところは、もう当時のままです。野球に関して、いろいろな面で成長して大きくなりましたけれど、彼は調子に乗ったり、鼻が伸びたりするとがなく、最初に知り合ったムネのままです。

――これまで監督は、村上選手に対して、「彼には成績以外の立ち居振る舞いも求めている」と話していました。この点についてはいかがですか?

髙津 今言ったように、たとえホームランを何本打とうが、調子に乗るような変化は感じていません。本当に負けず嫌いで、チームが勝つことを最優先にプレーしています。僕が四番打者、チームの中心選手に求めるのはそういう姿勢です。現時点でのムネは常にフォア・ザ・チームに徹していて、チームの勝利のために守備をする、走塁をする、バッティングをしています。非常にいいことだと思います。

――紆余曲折はありながらも、優勝までのカウントダウンが始まっています。ファンの方へ、改めて意気込みをお願いします。

髙津 僕らはもちろん、「何とかしよう、何とかしよう」と思って、目の前の試合を戦っています。当然、ファンの方も「何とか勝ってほしい」と思っていると思うし、それは、この時期にトップに立っているからこその感情だと思います。2位に大差をつけて、ぶっちぎりでの優勝を望まれているかもしれないですけれど、僕らは今の置かれた状況で、プロ野球として面白い試合を見せられるように頑張っていきます。引き続き「応燕」をよろしくお願いします!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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