2021年ついにセ・リーグ制覇、日本一を成し遂げた髙津ヤクルト。その悲願の裏には「絶対、大丈夫!」の言葉が物語る、髙津臣吾監督の卓越したチームマネジメント力があった。
王者として迎える2022年シーズン、髙津監督はどのように戦い、どのようにチームを進化させていくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――さて、ペナントレースが開幕して2週間が経過しました。敵地・京セラドーム大阪で開幕3連勝という幸先のいいスタートを切り、その後は一進一退の攻防が続いています。ここまでの結果を振り返りつつ、王者として迎えた開幕からの緊張感などはいかがでしょうか?
髙津 現役時代に、「マウンドに上がるときは緊張しますか?」とか、「どうやって緊張をほぐすのですか?」と、よく聞かれました。でも、もちろん興奮はしているけど、僕はそれほど緊張しないんです。それはなぜかというと、緊張しているヒマがないからなんです。
――「緊張しているヒマがない」とはどういうことですか?
髙津 やるべきこと、すべきことが多いという意味です。現役時代で言えば「どうやって抑えたらいいのか?」「次のバッターは誰か?」「ベンチに残っている代打は、代走は誰か?」と、いろいろ考えていると、緊張しているヒマがないんです。これは、監督になってからはさらにその傾向は強くなりましたね。
――現役時代よりもさらに考えることが多くなったということですか?
髙津 そうです。例えば、阪神相手に開幕3連勝をしても、そのすぐ後には神宮で巨人との戦いが控えています。「相手先発は誰なのか、どうすれば攻略できるのか?」「巨人打線を抑えるにはどうすればいいのか?」、そういうことを考えていると勝っても喜びを引きずらないし、その直後に4連敗を喫しても、負けを引きずっているヒマがないんです。
――それは、意図的に「切り替えよう」と意識しているんですか?
髙津 いや、決して意図的ではないです。現状を修復、改善していくためのことばかりを考えていれば自然にそうなります。「もっとうまくいくためにはどうすればいいのか?」ということをずっと考え続けることが、次への元気の源になっているのかもしれないですね。
――一つ一つの結果を引きずってしまっている選手がいた場合はどのように接しますか?
髙津 選手によっては「何でそんなに引きずっているんだよ」と声をかけるかもしれないし、別の選手には、あえて何も声をかけないかもしれないし、その選手の年齢、キャリア、考え方、キャラクターなどに応じて対応は使い分けているつもりです。