――選手への声掛けについて伺います。野村克也元監督はほとんど選手を褒めなかったそうですが、髙津監督は選手を褒めたりはしているんですか?
髙津 野村監督ほどではないけど(笑)、僕もどちらかと言えば褒めるタイプではないですね。せいぜい、「ナイスバッティング」「ナイスピッチング」程度しか言わないですね。
――それはどんな理由からでしょうか?
髙津 まぁ、これも常に次のことを考えているからだと思います。そのときにいいバッティングをしても、次の守備のことを考えているし、今日勝っても、頭の中は明日の試合のことを考えていますから。すべてが終わるまでは手放しでは喜べない。すべてを褒めてあげることはできない。だから、去年の日本シリーズ第6戦で胴上げされるときに初めて、選手たちに感謝の思いを伝えることができましたね。
――その反対に昨年のペナントレース終盤での塩見泰隆選手の手痛いエラーのように、選手がミスをしたときは叱ったり、怒ったりはするんですか?
髙津 僕は怒りません。怒る役のコーチがいるから。僕が怒ってしまうと、選手たちにとっては相当重いじゃないですか。塩見だってエラーしようと思ってしたわけじゃない。もちろん、気を抜いていたり、サインミスなどのボーンヘッドに関しては注意しますよ。でも、プレーについて、技術的なことに関して、僕は怒らないです。強いて注意するとすれば生活態度だったり、全力疾走しないなどの怠慢プレーに関してだけです。
――選手がミスをした場合、しばしば「起用した監督に責任がある」という発言を耳にすることもあります。髙津監督もそのような考えですか?
髙津 僕はそうは思いません。勝敗に関しての責任を取るのはもちろん監督の責任です。でも、一つ一つのプレーに関しては起用した監督の責任だとは思いませんし、選手たちにもそういう言葉は発しません。僕が現役だとしたら、「使ったオレの責任だ」と言われたらイヤだし、選手たちにも失礼だと思うので。それぞれの考え方があるので、一概に否定はしないですけど、僕はそういう言い方はしないですね。