――常に意識していないと、目の前のチャンスに気づかないまま過ぎ去ってしまう。だからこそ、選手たちには「今がチャンスなんだ」と自覚してほしい、と。
高津 そうです。前半戦を折り返して、首位と僅差の3位で折り返したということは、ぜひみんなにしっかりと意識してほしい。当然、ここからはいろいろなプレッシャーもあるでしょう。でも、そのプレッシャーを感じながら戦い抜くことの難しさを、選手たちには感じてほしいんです。間違いなく、ここからの戦いは普段とは違います。プレッシャーに緊張感、普段とは違う自分をいかにコントロールするのか?
――優勝争いのプレッシャーを通じて、選手たちがさらに飛躍するきっかけとしてほしい。そんな願いも込められているのでしょうか?
高津 まさに、そうです。しっかりとこのチャンスを自覚してほしい。そして、「絶対にこのチャンスを逃さないぞ」という思いで戦ってほしい。強く、そう思っていますね。
――2015(平成27)年、真中満監督の下でセ・リーグ制覇したときも、終盤まで混沌とした状況が続いていました。一進一退の中で最後の最後に頭一つ抜け出した。あの当時、高津さんは一軍ピッチングコーチでした。あのときの雰囲気と似ている。あるいは違う点はありますか?
高津 優勝する年って、シーズン終盤にグッと耐える力があるんです。例えば、劣勢でも最後にひっくり返したり、大敗を喫しても次の試合ではきちんと取り返したり、本当に強いチームというのは粘り強さを絶対に持っている。例えば、去年のヤクルトは何とか連敗を止めても、その後もさらに連敗を喫してしまう。そういうことの繰り返しでした……。
――でも、今年はそうじゃない?
高津 いや、それは今から真価が問われるんだと思います。今年はペナントレースの日程が遅いので、9月、10月に本当の山場がやってくる。残り30試合、20試合となったときに、どんな位置にいるのか? どんな戦いをしているのか? そこが問われていると思います。
――まさに、チームスローガンの「真価・進化・心火」ですね。さて、ようやく神宮球場に戻ってくる9月半ば以降のビジョンを教えてください。
高津 これからは10連戦もあるし、1試合だけやって移動して2試合したり、スケジュールが今までとは変わってくるので、ローテーションの組み方がとても大切になってきますから、その点は細心の注意を払いたいと思います。トータルではいろいろな計算はしますけど、僕自身は、長い目では考えていなくて、その日グラウンドに立ったときには、「とにかく目の前の一試合を集中して戦う」ということを意識しています。
――改めて最後に意気込みをお願いいたします。
高津 先ほども言ったように、チームスワローズとして、「スワローズの野球」は引き続きやっていきたいと思います。とても難しいことかもしれないけど、「よそゆきの野球」ではなく、「普段着の野球」、今まで通りの野球をいかに貫くことができるか? 本当の土壇場になったときに、「どうやって1点を取るのか?」、あるいは「どうやって1点を防ぐのか?」、この点は野球の醍醐味であり、面白さだと思います。
――まさに、それこそが野球の魅力と言えますね。
高津 プレーしている僕らは、その状況を「楽しみます」とはなかなか言えないけど、ファンの方にとっては、本当に野球の面白さを味わえると思うので、ぜひ楽しんでいただきたいです。日々、一喜一憂せずにふんどしを締め直して戦います。どうぞ応燕、よろしくお願いします!