――8月2日、ROUND2の「日本対アメリカ戦」では、マクガフ投手が9回に同点打を喫して延長戦となり、延長10回タイブレークで、侍ジャパンがサヨナラ勝利しました。このときの心境を教えてください。
高津 対メキシコ戦で哲人がホームランを打ったり、決勝戦でムネが先制ホームランを打ったりしたときには、テレビを見ながら手を叩いて、声を出して大喜びしました。でも、ROUND2のアメリカ戦で、スコットが失点した場面では、まったく声は出ませんでした。強いて言うなら、「無」というか、「ゼロ」という感覚でした。
――改めて振り返ってみると、どうして「無」「ゼロ」になったと思いますか?
高津 侍ジャパンとしては土壇場で同点に追いついて延長戦に持ち込んだわけですけど、その喜びは皆無でした。頭にあったのは、ただ「スコットが打たれた」という思いだけでしたね。もちろん、日本に勝ってほしいんだけど、「打たれた」という思いが強すぎて、感情が表に出なかったんじゃないのかな? まだ救いだったのは「スコット対哲人」とか、「スコット対ムネ」の対戦じゃなかったことですけどね。
――でも、決勝戦では1対0とリードした8回裏、山田選手がマクガフ投手からヒットを放って、結果的にそれがダメ押しの2点目となりましたね。
高津 そのとき、すごく後悔したんです。前半戦が終わって、彼らがオリンピックに行くときに、僕は「ぜひ金メダルをかけた試合で、3人が対決している場面を楽しみにしている」って言ったんです。でも、実際にその場になると、自分の言葉に後悔しましたね。だって、どんな結果が出たとしても、嬉しいと同時に、悲しい気持ちになるんですからね(苦笑)。
――さて、後半戦が始まりました。3選手のメダル獲得は、チームにいい雰囲気をもたらしたのではないですか?
高津 哲人もムネも、スコットも、本当に重いものを背負って戦って、自分の持てる力を存分に発揮したと思います。僕らはその姿を全力で応援しました。オリンピックに出た3人が元気に戻ってきて、僕らは彼らの活躍を見て元気をもらって、いい刺激になったのは間違いないです。ぜひこのムードを大切に、後半戦を戦っていきたいと思います。