――では、スタメンではないベテラン選手、なかなか出番に恵まれない選手についてはどんな意識をしていますか?
高津 たとえば、今季はファーム生活が長かった雄平。あるいは、ここ数年、山中(浩史)や中澤(雅人)はなかなか出場機会に恵まれませんでした。でも、間違いなく彼らは貴重な戦力です。出場選手を決定するのは監督である僕の判断ですから、その責任は大きいと思っています。
――今、名前が挙がったベテラン選手たちは、やはり一軍登場時には確かな存在感を発揮していますよね。
高津 僕の中では、すべての選手に対して、「同じユニフォームを着て、70人の選手枠の中で一緒に戦っている仲間」という思いがあります。同時に、「どんな選手にも絶対に活躍できる場所がある」という揺るがぬ思いもあります。だからこそ、「全選手を決して無駄にしてはいけない」という思いは、監督就任時からずっとありますね。
――野村克也元監督がおっしゃっていた「適材適所」の発想ですね。
高津 そうです。絶対に働ける場所、輝ける場所、活躍できる場所はあります。大切なのは、指導者がその場を見つけてあげられるかどうかということ。そこを見つけ出して、自信を持って送り出してあげること。ローテーションが苦しいときに、山中が先発で好投してくれました。彼も思うところはあったはずです。みんなが強い気持ちで勝負に臨んでくれればいい結果につながる。僕は、そう信じています。
――前回伺った若手選手との接し方とは明らかに違いますね。
高津 若手には闘争心や競争心を刺激するような言葉をかけたり、起用法を意識したりしつつ、ベテラン選手には体調の不安なくプレーできる環境を作り出す。若手とベテランとでは、そんな意識の違いはありますね。