「スワローズらしい良い文化を継承し、明るい素晴らしいチームを作っていかなくてはならない」――就任会見でそう語った、東京ヤクルトスワローズ高津臣吾1軍監督。昨季、2軍監督という立場からチームを支えてきた高津監督は、思わぬ事態に見舞われたこの2020シーズン、1軍監督としてどのようなビジョンでリーグ制覇を目指していくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、高津監督の野球論を余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――今回は選手たちとの接し方、特に「若手選手の接し方」について伺いたいと思います。選手たちのモチベーションを高めるために、日頃から意識していることなどはありますか?
高津 チームというのは、それぞれ性格も考え方も違うプロフェッショナル達の集まりですから、選手個々に合った接し方をするというのは、とても難しいことだと、改めて感じていますね。今、大体17人の野手がベンチ入りしています。その中でピッチャーを抜いた8人がグラウンドにいて、それ以外の選手は基本的にはベンチに控えているわけです。
――当然、試合に出ている選手とベンチに控えている選手とではモチベーションにも違いがあるでしょうね。
高津 試合に出ている選手たちは、それぞれ勝利のために頑張っているわけですから「どうにかしてモチベーションを高めよう」と、監督が特に意識することもありません。だから、意識すべきはベンチにいる選手たちに対してです。いちばんいいのは「適材適所の場面で信頼して送り出すこと」になるんだと思いますね。
――代打にしろ、代走にしろ、守備固めにしろ、「ここぞ!」という場面で、「ここはお前に任せた。お前しかいないんだ」という思いで起用するということでしょうか?
高津 そうですね。監督として本当に信用して送り出すこと。それは大事なことだと思います。たとえ、たまにしか出場機会がなかったとしても、そこでヒットが打てた、きちんと走れた、きちんと守れたとなると、それはチームにとって本当にありがたいことですから。こうして結果を出してくれれば、本人ももちろんだけど、僕としてもとても嬉しい。そういうときは僕自身も、率先して喜ぶように意識しています。