――具体的に若手選手たちについて伺いたいと思います。不動の四番としてシーズンを通して活躍している村上宗隆選手について、監督はどのようにご覧になっていますか?
高津 彼の場合は昨年、あれだけの活躍を見せて、今年が実質2年目だと思います。だから、本当によく頑張っていると思いますよ。12球団に12人の四番バッターがいるけど、「ヤクルトの四番は村上です」って、胸を張って言えるぐらいの成績は残していると思いますね。
――手放しで絶賛できる活躍を見せている、と?
高津 いえいえ、そんなことはないです(苦笑)。以前も言ったかもしれないけど、彼には自分の発言だったり、立ち居振る舞いだったり、数字以外のことをもっともっと求めたいです。成績だけでなく、いろいろなものが求められるのが四番打者だと、僕は考えていますから。
――まだ、真の四番打者ではないですか?
高津 まだですね。数字だけ見れば、立派な四番ですよ。でも、それ以外はまだまだです。とは言え、プロに入ってから始めたサードやファーストの守備でも本当に一生懸命頑張っている姿が見えるし、実際にうまくなっています。守備でチームを引っ張る、打撃でチームに勇気を与えようと心がけているという姿は立派だと思います。
――監督の言う「四番打者に求められるもの」とはどんなことなのですか?
高津 言葉で説明するのは難しいんですけど、日頃の練習態度であったり、試合に取り組む姿であったり、チームメイトへの気遣いであったり、いろいろです。彼を通じて、周りの人たちに好影響を与えることができる存在になってほしいということです。
――「今年20歳になったばかりの村上選手にそこまで多くを求めるのは酷だ」ということではなく、本当の四番打者になってほしいからこそ、求めるものは多いんですね。村上選手は、ベンチではいつも監督の前に座っていますね。これは監督の指示ですか?
高津 いえ、ベンチ内では一番若いから、結果的に空いている監督の前に座っているんじゃないですか(笑)。監督前というのは一番広いスペースだし、村上は荷物が多いから。試合中、いつも僕の目の前に座っているんで、ここでは具体的には触れないですけど、実は彼に注文をつけたくなることも多いんです。もちろん、いつも注文をつけるわけではないけど、注文が「10」くらい溜まったら言うようにしています。「1」や「2」では言わないです。
――村上選手について、彼のモチベーションを高めるべく意識することはありますか?
高津 彼の場合は「何とかしてモチベーションを高めよう」という思いは特にないです。あれだけ毎日、試合に出て大事な場面で頑張っているので、こちらから何かケアをすることはないです。ケガに気をつけて頑張ってほしいという思いだけです。