「家族」というチームのつくり方

「どれだけ家事をしても感謝されない…」評価されない夫がすべきたった一つのこと

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家事の役割分担、マネジメントできていますか?

さて、家庭に話を戻します。こうやってPDCAサイクルで考えてみると、家庭に必要なマネジメントとは、どんなものがあるでしょうか?
たとえば、家事の分担はどうでしょうか。思いついた人がやるとなっているものが意外と多いのではないでしょうか。

・洗濯ものがたまっていたから洗濯機を回す
・乾いたから干す
・シンクに食器が溜まったから洗う
・洗った食器を食器棚にしまう
・おなかがすいたから料理を作る
・食材が足りないから買いに行く
・散らかってきたので片付ける

暗黙の了解でどちらがやるかが決まってしまっているものもあるでしょう。
その結果、「なんで自分ばかり家事をたくさん負担しなければならないんだろう?」と不満がたまったりするのはよくあることです。

これをマネジメントで考えるとどうでしょうか。
家事を「時間の使い方」として捉えると、家事の役割分担は、家庭内でのタイムマネジメントの領域であることがわかります。

・今月、あなたは仕事にどのくらいの時間を使うのでしょうか。
・仕事の飲み会や友人とのつきあいにはどのくらい時間を使いますか。
・家族とのお出かけや旅行にはどのくらい時間を使いますか
・子育てにどのくらい時間を使いますか
・家事にどのくらい時間を使いますか

家事に時間を割くには、仕事などの家庭外の時間も含めて考えないとうまくいきません。
これらを計画(P)を立てて、計画で考えるとどのくらい時間を使えるのかを考える必要があるわけです。これは奥さんも一緒です。
重要なのは、「お互いの時間の使い方の計画(P)をお互いが理解しているか」ということです。

奥さんは、旦那さんが家庭以外で何にどのくらい時間を使っているのか、把握できていないとすると、どんどん関心を失っていき、要求がきつくなっていきます。もっとこれをしてほしい、あれをしてほしいと要求を突きつけてくるでしょう。
旦那さんからすると、「オレはこんなに仕事をしているのに、さらに帰ってきて、家事をさせられるのか」と不満を募らせていくことが多くなっていきます。

この、「オレはこんなに仕事をしているのに」の部分を、ほとんど把握できていないのです。
また、奥さんがどのくらい時間を使っているのかは、旦那さんも把握できておらず、お互いがお互いに対して、自分のほうが時間を使っているという認識になってしまうわけです。

家庭の中で、家事が「D→D→D→Dサイクル」になってしまっていて、お互いの時間の使い方についての計画(P)が共有できていないことで、不要な不満を募らせる結果となるのです。

奥さんと「計画」を共有してみよう

我が家では、仕事の予定も含めて、スケジュールはすべて妻に共有しています。
また、クライアントが何社あり、それぞれからいくらもらっていて、今後どのくらい大きな仕事になりそうか、ということも共有しています。
そのために、懇親会やゴルフといったお付き合いがなぜ発生しているのか、それによって何を得たいと思っているのか、可能な限りで伝えています。

結婚当初はそこまで伝えていなかったのですが、そうするとどうなるか。
妻からすれば、「なんだか忙しそうだけど、なんで忙しいかわからない」という状態になります。
そして、「そうやって好き勝手に仕事の予定をバカスカ入れて、あなたは忙しいのが好きなんだよね。家族との時間より、仕事を優先するのよね」と言われます。

もちろん仕事は好きですし、私自身、究極、家庭よりも仕事を優先してしまうタイプではあるのですが、それを口にしてはいけません。
「家庭を優先していないわけじゃないんだけど、重要な案件なんだ」と都度言い訳のようになだめていました。
ですが、ふと思い立って、仕事の「計画」を全て伝えて共有したところ、こうした意見というのはピタッとなくなりました。

「仕事も家庭も優先している」と口で言うよりも、きちんと仕事の計画と家庭の計画を共有して、「どうしようか」を話し合っていくうちに、「どちらを優先しているか」ということは、ほとんど問題ではなくなっていったのです。

また、年間を通して、家族でどこに出かけたいか、話し合って、大きなものは年初に決めてしまいます。
そうして、家族で「計画」を共有するということは、未来を共有することでもあります。
家庭内において、未来について話し合う時間を持てることが、マネジメントの非常に重要な要素だと感じています。

とはいえ、共有したらしたで、「この仕事はやらなくていいんじゃないか」など、口を出される機会も増えるので、仕事がやりにくくなった部分も正直あるのですが、仕事を応援してもらえていることを思えば、奥さんの口出しは、むしろ感謝すべきことではないでしょうか。

家庭での「マネジメント」。ぜひ取り組んでみてください。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

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