さて、このように皆さんは会社から多大な「恩恵」を受けながら働いていますが、ここでは、その「恩恵」の大きさをよりリアルに、数字で実感してみましょう。
まず、改めて自分の給料明細をチェックしてみて下さい。雇用形態にもよりますが、給料として支払われた金額からいくつか引かれている項目があるはずです。そのうち、健康保険料や介護保険料に注目してみましょう。これらの保険料は、多くの場合、本来支払うべき保険料の総額のうちの半分を会社が負担してくれています。そのため、自分の給料から天引きされている金額は全体の半分です。会社によってはその2/3を負担してくれている場合もあります。この機会に、自分の勤めている会社の福利厚生の内容などを見直すことをおすすめします。
これだけでも、自分がとても恵まれていることが分かるのですが、さらに「もし、独立起業したらどうなるか?」をイメージしてみましょう。仮に、会社に属さずに仕事をするとしたら、どれだけの経費がかかるのかを具体的に算出してみるのです。
例えば、個人で独立起業した場合は、オフィスやコピー機を借りるのも自分です。パソコンはもちろん、ボールペン1本、コピー用紙1枚にかかるお金まで、全て経費になります。空調を効かせるための電気代もかかりますし、オフィスまで通うための交通費も、だれも払ってはくれません。経費には、仕事に関連して発生する全ての費用を、1カ月分の概算で構いませんので算入してみて下さい。
このように計算して出てきた金額は、自分が思っていたよりも、はるかに大きな金額になるのではないでしょうか。会社は、皆さんが働く環境を維持するために、それだけの金額を負担しているのです。ちなみに、皆さんが実際に受け取っている月給にその金額を加算してみてもよいかもしれません。その金額が、ある意味、本当の月給だと考えると、皆さんは、かなりの高待遇で働かせてもらっていることになります。
私自身、会社員として働いたのちに退職して独立したのですが、会社員を辞めたときに、それまでどんなに会社から「恩恵」を受けていたのかを痛感しました。会社から離れたときに、そのありがたみが身に染みたのを覚えています。
ときには、今回お話したような方法で、自分の受けている「恩恵」を数字で把握してみることをおすすめします。そうすれば、「当たり前」だと思っていた現状に対する感謝の気持ちと“やる気”がおのずと生まれてくるはずです。
次回に続く