さて、このように「小さな目標」を設定して「行動」を起こして得られるのは、「達成感」だけではありません。
ここでは、普段、本を読む習慣のない人が「読書」という「目標」を設定した場合を例にとってみます。仮に1冊の本を一気に読もうとすると、それなりにまとまった時間が必要になるところを、時間を区切って「毎日5分間だけ本を読む」という「小さな目標」に設定したとしましょう。
1日にたった5分間の読書の時間を作るくらいなら、その気になれば誰にでも簡単にできるはずです。そのため、この目標はわりとスムーズに達成することができるでしょう。前述したように、たった5分間の「小さな目標」でも、やり遂げた時点で「達成感」が得られ、これを毎日続けていくと、自信と“やる気”に繋がってくるのです。
ところが、何回か目標を達成していくうちに「5分だけのつもりで読み始めたら10分読んでいた」「続きが気になって、結局最後まで読んでしまった」というように、無意識のうちに「目標」としていた以上に集中した時間が持続するという現象が起こることがあります。
これは、実際にその「行動」をしているうちに、「気持ち」に変化が起きたからです。すなわち、「行動」と「気持ち」の連動が起きたのです。5分だけのつもりで始めた「行動」に「目標」よりも長く集中できたのは、“やる気”が出た証拠です。その結果、当初の「小さな目標」の達成どころか、それを通り越して、さらに大きな成果をもたらしたということです。
このように「気持ち」が変化することは、特に職場において苦手な仕事に取り組まなければならないような状況で役立ちます。仮に気が進まなくても「まずは1時間だけ」と「目標」を設定してやり始めるのです。すると、「目標」をやり遂げるために集中しているうちに“やる気”が出て、そのまま一気にやり遂げられる場合があります。こうして、苦手な仕事も結果的には「達成感」に結びつけることができるのです。
“やる気”が出ないときでも、自分の「行動」や「意識」しだいで状況を変えることは可能です。まずは、日々の中で「小さな目標」を設定することから始めてみましょう。それを一つずつやり遂げて「小さな達成感」を積み重ねていくことで、自分の“やる気”に変化が起こります。
次回に続く