こんにちは、感情コミュニケ―ション術専門家の沖本るり子です。今回は、“やる気”に満ちている人の行動を真似すると、自分も“やる気”を出すことができるというお話です。「人と同じ行動をするだけで自分の気持ちが変わる」と言われても、懐疑的になるかもしれません。しかし実際には、人間は“やる気”がある人の行動を真似することで、その人の気持ちや感情が自分に伝播するのです。日々の生活の中で“やる気”が出ない状態になったとき、ぜひ試してみて下さい。
人間は、無意識に自分の気持ちが行動に表れてしまうものです。例えば、機嫌がよいときは静かに開け閉めしているドアを、不機嫌になると大きな音を立てて閉めてしまったり、直接的な理由がなくても何か心配ごとがあるだけで、仕事がはかどらなかったりすることがありますよね。変化の大きさには個人差がありますが、気持ちの状態が行動に影響することは、誰にでもあるのです。
このようなマイナスの気持ちのときには、よく「気持ちを切り替えよう」「嫌なことは忘れよう」などと自分に言い聞かせようとしますが、自分の感情を自分でコントロールするのは意外と難しいことです。だからといって、気持ちがプラスの方向に向くまでマイナスな気持ちと行動を繰り返していると、さらにマイナスの気持ちを増幅させてしまい、また新たなマイナスの感情を生むという「負のスパイラル」に陥ってしまいます。そうして、自分の雑な行動がさらに自身の気持ちを不機嫌にさせてしまい、“やる気”を損なってしまうことになりかねません。
だからこそ、自分のマイナスの気持ちをプラスに変えるためには、気持ちを変えようとするのではなく、まず「行動を変える努力」をするのです。行動を変えることができれば、必ず気持ちにも変化が起きます。なぜならば、人間は行動と気持ちが常に連動しているからです。
こうした行動と気持ちの関係は、心理学においても基本的な概念の1つになっています。以前、私が行っていたEQ(Emotional Intelligence Quotient=心の知能指数)を活用したセミナーでも、この概念を前提に、自分の気持ちの状態と反対の行動を取って、気持ちを変化させるというトレーニングを行っていました。そして、そこでも実証されています。
焦っているときこそゆっくり行動したり、怒っているからこそ物を丁寧に扱ったりして、あえて気持ちとは逆の行動をとってみて下さい。そうすることで、自分自身の気持ちを冷静にすることも、怒りを鎮めることもできるはずです。