こんにちは、ロールジョブの大岩俊之です。営業マンは「言った・言わない」など、お客さまとの揉めごとは、絶対に避けなければなりません。しかもなぜか、この手の揉めごとは、新人よりも仕事に慣れた人の方が起こりやすいので、中堅以上の営業マンでも注意が必要です。
今回のテーマは、「ロジカルコミュニケーション」です。アメリカの文化人類学者であるエドワード・T・ホールが唱えた「ハイコンテクスト文化」と「ローコンテクスト文化」という区別方法を例に挙げながら、説明していきます。
「ハイコンテクスト文化」とは、伝える努力をしなくても、お互いに相手の意図を察しあうことで、なんとなく通じてしまう文化のことです。あいまいな表現が多く、あまり多くを話さない傾向にあります。ハイコンテクスト文化の筆頭は、まさに日本人です。
一方「ローコンテクスト文化」とは、明確に言語によってコミュニケーションを図ろうとする文化のことです。直接的で分かりやすい表現を旨とし、寡黙であることを評価しない傾向にあります。ローコンテクスト文化は、ドイツ人、アメリカ人、フランス人などがメインとなります。
この日本人特有のハイコンテクスト文化は、会社での仕事の進め方だけではなく、人との付き合い方、家族間の会話など、日常生活にも浸透しています。なので、仕事でのやり取りがあいまいになってしまうのは、ある意味仕方ないことなのかもしれません。よくあるやり取りは、「空気を読めよ!」「雰囲気で察しろ!」「1つ聞いたら、大体分かるだろ!」「何年働いているんだ!」「あれあれ、それそれ!」「いつものようにお願いします!」という類の言葉です。
しかし、これらの言葉は本来、ビジネスの現場ではあってはなりません。特に、お客さまとやり取りをする営業マンが、きちんと事実を確認せずに仕事を進めることは、ミスを誘発する原因にもなります。明確な情報を把握してしないということは、お客さまに迷惑をかけるだけではなく、会社に多大な損害を与えることにもつながるのです。
日本人はハイコンテクスト文化のため、いちいち説明しなくても、あるいは、説明が分かりづらくても、「私のことを察してくれる」という気持ちが先に出てしまうのは、仕方ない面もあります。ですが、営業マンがミスをしないため、きちんと相手に意図を伝えるため、商談を優位に進めるためには、営業マン自身が工夫をするしかありません。
大事なのは、その場の空気を読んで、あいまいな表現、あいまいな答え方をしないことです。こうした営業マンの対応次第で、「言った・言わない」のトラブルを防ぐことができるのです。
では、この日本人特有のハイコンテクスト文化への対策として、営業マンはどのように日頃の商談などを工夫していけばよいのでしょうか。