――交流戦終了後は、巨人相手に連敗スタートとなりましたが、マツダスタジアムではカープ相手に3タテを食らわせ、続くドラゴンズ戦の初戦にも勝って4連勝を記録。先発投手陣も軒並みQS(クオリティスタート)を達成。先発投手陣の復調の気配もあります。
小川 やっぱり、先発ピッチャーには少しでも長いイニングを投げてほしいという思いはあります。前半戦では、先発ピッチャーが早々に降板することで、どうしても中継ぎ陣に過度の負担をかけてしまっていましたから。中継ぎへの負担は、『プロ野球ニュース』で、いつも話題になっていて、僕もその点はずっと悩んでいます。
――たとえば、6月14日、メットライフドームでの対ライオンズ戦では、先発のブキャナン投手が乱調。4回までに11失点を喫したものの、それでも5回まで続投させました。あるいは7月7日、ナゴヤドームでの対ドラゴンズ戦でも、初回に6失点を喫した先発の高梨裕稔投手を3回まで投げさせ、結局3回7失点での降板となりました。序盤に大差がついた試合で先発投手をなおも続投させるのは、中継ぎ陣を疲弊させないためには、仕方のないことなのでしょうか?
小川 西武戦でのブキャナンのケースで言えば、もちろん球数の問題もありますけど、「先発投手の責任としてできるだけ長く投げてほしい」という思いはありました。とは言え、今後のことを考えると、あまり投げさせ過ぎてもいけないという思いもあります。でも、あの日のブキャナンについては、誰が見ても集中力が切れているのは明白でした。いくら外国人投手とはいえ、チームに与える影響を考えると、「きちんと集中して投げてほしい」「野球は一人でやるものじゃないんだ」ということを彼に気づかせる意味での続投でもありました。
――その結果、ブキャナン投手が腐ったり、投げやりになったりするリスクはないのですか?
小川 もちろん、そこは気をつけなければならない点でした。ですので、試合後には二人のピッチングコーチ(田畑一也、石井弘寿)と宮本(慎也)ヘッドを交えて、本人と話し合いを行っています。最初、コーチたちに指示したのは「こちらからの意見を言う前に、まずはブキャナンの言い分をきちんと聞いてほしい」ということでした。
――そこではどんな会話が行われたのですか?
小川 やはり、ブキャナンの中でも不満はたまっていたようでした。交流戦のオリックス戦(6月8日)で、ブキャナンはロメロに2本のホームランを浴びて、4回5失点で降板しました。「あのときはまだ投げられたのに交代させられた。でも、今日は何でこんなに投げさせるんだ?」ということを言っていたそうです。その上で、こちらからはオリックス戦での降板の理由、西武戦での続投の理由を説明しました。
――その結果、ブキャナン選手の不満は解消されたのですか?
小川 もちろんです。最後にはブキャナン自身から「次は一生懸命頑張る」と口にしたそうです。その後もまだ、本調子というにはほど遠いけれど、外国人選手とのコミュニケーションは、日本人選手以上に気を遣っています。異国でプレーすることの難しさを少しでも解消させるのも、首脳陣の役目だと思っています。