2017シーズンまさかの「96敗」から、昨シーズンセリーグ2位という快進撃を見せたヤクルトスワローズ。ドン底のチームを見事立て直した小川監督は今年、「KEEP ON RISING~躍進~」をスローガンに掲げ、さらなる飛躍を目指す。本連載では2018年シーズンに続き、インタビュアーにスポーツライター長谷川晶一氏を迎え、「躍進」を成せる強いチームをつくるにはどのような采配と決断が必要なのか――小川監督へのタイムリーなインタビューを通じて組織づくりの裏側に迫っていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――2019年ペナントレースが開幕しておよそ一カ月。前回、「スタートダッシュが大切だ」とお話ししていましたが、両リーグ10勝一番乗りを果たし、単独首位も経験するなど、見事に開幕ダッシュに成功しました。率直に言って、どのよう心境ですか?
小川 もちろん、気分悪いことはないですよ(笑)。阪神との開幕3連戦こそ2連敗スタートでしたけど、その後は各チームに勝ち越し、マツダスタジアムでの広島戦は3連勝するなど、各チームとの対戦がひと回りするまでに貯金ができ、単独首位となったのは予想以上の成績でした。その要因としては、やっぱり投手陣の踏ん張りが大きかったと思います。
――開幕以来、先発投手は好投するものの、常に接戦で終盤に逆転する試合が多く、リリーフ投手に勝ち星がつくケースが多いですね。
小川 先発投手に勝ち星がつこうが、リリーフ投手に勝ち星がつこうが、「1勝は1勝」であることに変わりはないので、指揮官である僕がこんなことを言ってはいけないけど、僕としては先発投手に勝ち星がつくことは大切だと思っています。週に一度登板する先発投手にとって、白星がついて次の登板を迎えるのと、「今度は勝つぞ」という思いを抱いたまま一週間過ごすのとでは心の余裕が全然違うと思うので。理想を言えば、先発が抑えて打線が得点を挙げて、リードしたまま逆転を許さずにリリーフ陣が抑えて勝つこと。……あくまでも理想論ですけども(笑)。
――開幕ダッシュに成功したことで、チームのムードはいかがですか?
小川 一昨年の「96敗」から昨年2位になったことで、選手たちの中に自信が芽生えてきました。その上で、今回開幕ダッシュに成功したことで、「今年はいけるぞ!」という思いで戦ってくれているのかなという気はします。他球団がまだ、春先で本調子でないときに、少しでも多く、一つでも多く勝ち星を挙げることは大事だと思うので、今はいい状況にあると思います。
――まずは投手陣について伺います。開幕ローテーションは、阪神3連戦が小川泰弘、石川雅規、高梨裕稔で始まり、続く対DeNA3連戦は原樹理、高橋奎二、寺原隼人という6投手でした。これはいつ、決定したのでしょうか?
小川 決めたのは開幕直前ですね。というのも、オープン戦終盤にスアレスが故障し、開幕直前にブキャナンのコンディション不良があったので、修正を余儀なくされました。当初の考えではDeNA戦をブキャナン、高橋、原という順番でした。ただ、ブキャナンは軽傷で済んだので、これからは当初の予定通り、高橋と寺原を抹消、登録しながら、交互に起用するつもりです。現時点では開幕間もないので、無理せずに起用していくつもりです。