――昨年のことを考えると、今年は大きく躍進した一年となりました。シーズン中には来年の留任も早々に決定しました。これによって、何か心境の変化などは生まれましたか?
小川 留任したから「よかった」という思いは、特にないですね。僕に求められているのはチームの立て直しだと思うんです。そのためには、「勝ちながら選手を育てていく」ということも求められています。レギュラー選手も、そろそろベテランの域にさしかかっています。だから、2年契約の1年目を迎えた今年は「2年かけて、今のレギュラー陣をどのように入れ替えるか?」ということは意識していました。もちろん、ピッチャーのローテーションについても「2年間」というスパンで考えていました。だから、「2年目を迎えるから、新たにこれをしよう」というのはあまりないですね。
――「2年間」というスパンを視野に入れた上で、中尾輝投手、梅野雄吾投手、高橋奎二投手らが、すこしずつ台頭してきたという感じなのでしょうか?
小川 そうですね。彼らは順調に台頭してきたと思います。野手で言えば、開幕前にはショートのレギュラーを廣岡(大志)と西浦(直亨)とで争わせて、最終的には西浦がレギュラーの座をつかみました。廣岡はそのまま一軍に帯同させてもよかったのだけれど、一軍に残していても試合に出られないなら、それは彼のためにはならない。だから二軍で鍛え直すという道を選びました。
――その一方で、期待のルーキー、村上宗隆選手はいくらファームで活躍しようとも、シーズン終盤まで一軍に挙げませんでしたね。
小川 村上に関しては、彼はまだ1年目ですから、来年、再来年辺りでレギュラーになってくれればいいという考えで、ファームでじっくり鍛えるという道を選びました。でも、僕自身も、まさかあそこまで成績を残すとは思っていませんでした(笑)。当初は9月末の9連戦で一軍に昇格させるつもりだったんですけど、2位争いを続けている状況もあって、その前の6連戦で昇格させました。昇格した最初の試合で、石井琢朗が「スタメンで使いましょう」と言ってくれたんで、僕もホッとしながら起用したら、いきなり初打席ホームランですからね。バッティングだけで言えば、一軍の戦力としてすでに楽しみな存在です。
――シーズンは終わったばかりですが、すぐに秋季練習が始まり、また来春には厳しいキャンプが控えていますね。
小川 今年一年間やってみて、たくさんの課題が見つかりました。まだまだ技術も力も足りないのは間違いありません。CSで1勝もできなかった悔しさを忘れずに、これからの時間を有効に使って、また来季に挑みます。今季はご声援、どうもありがとうございました。