小川流2018燕改革!

ペナントレース終盤を迎え、
クライマックスシリーズへの意気込み

2018.09.28 公式 小川流2018燕改革! 第13回

守りの姿勢に入ったらダメ
常に攻める姿勢を忘れずに

――改めて、今季の躍進の理由をお尋ねしたいと思います。ご自身では答えづらいとは思いますが、監督の采配、手腕が、チーム成績にどのように影響していると思いますか?

小川 これは謙遜でもなんでもなくて、僕の采配による勝利はほとんどないと思っています。試合に勝利するときというのは、やっぱり選手が活躍することによって勝つわけですから。でも、逆に負けるときにはそこに何らかの原因はあるわけだし、敗戦のときこそ、監督の采配によるものが大きいと思います。

――敗戦における監督の采配の影響とは、具体的にはどんなものがありますか?

小川 一番大きいのは、ピッチャー交代のタイミングですね。基本的には勝つときというのは、監督が何もしなくても勝てるものですけど、負けるときには、打つ手を間違えたり、しかるべきタイミングを逃したりするケースがほとんどですから。

――でも、スタメン起用を考えたり、ピッチャーの継投、代打策を決定したりするのは監督の役割だし、実際に2位という好位置につけているのは、監督の手腕も大きいと思います。

小川 そう言ってもらえるのは嬉しいけれど、実際には「あぁ、失敗したな」とか「間違えたな」というケースの方が、強く頭に残っていますね。例を挙げればキリがないほど浮かんできます。

――「最悪の事態を想定する」というのは、「ネガティブ思考」ということとイコールなのでしょうか? それとも、別のものなのでしょうか?

小川 どうですかね? ただ、ネガティブなことが頭をよぎった場合に、「それは口にすべきではない」と思って、自分の中に飲み込むケースはよくあります。たとえば、8月末の広島戦で3点差を逆転されて、石山泰稚がサヨナラホームランを浴びたとき(8月23日)には、「この負けが尾を引かなきゃいいな」と頭に浮かびました。でも、それはあえて口にはしませんでした。自分ではその線引きがうまくできているとは思わないけど、指揮官として、「口に出すべきことと、出すべきでないこと」というのは確実にあると思います。

――「口に出すべきこと」と「口に出すべきでないこと」の線引きは難しいですね。

小川 僕の中には、明確な線引きはありません。ただ、何か気づいたことがあったときに、先にコーチたちが選手たちにきちんと伝えてくれるケースが多くて、僕は本当に助かっています。だから、自分があえてそれ以上のことを言う必要がないというケースが多いですね。

――1位と2位のゲーム差がこれだけ開いたり、対戦成績で圧倒的に分が悪かったりすると、カープに対して気後れしたり、ひるんだりしたりはしないのですか?

小川 ゲーム差が開いたのは事実だし、広島の強さをまざまざと見せつけられたのも事実です。だけど、優勝が決定するまでは、常に「1位を狙う」と思っていたし、2位が見えてきてからも、「それでも戦い抜くんだ」という思いは持っています。我々はまだ、本当の実力があるわけではないので、ここで守りに入ってしまってはいけないと思うんです。常にしっかりとアグレッシブに攻撃的に行くしかない。その姿勢を忘れずに、これからのポストシーズンに挑んでいきたいと思っています。

 

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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