小川流2018燕改革!

チームに芽生えつつある
「全員で戦う」という強い意識

2018.04.27 公式 小川流2018燕改革! 第3回

シーズン全体のプランニングから、
少しずつ各論に絞り込んでいく

――開幕当初は、1番の山田選手が塁に出てすぐに盗塁。2番打者の進塁打で3塁に進み、ワンヒットで、あるいはヒットなしで先制という場面が何度か見られました。このパターンはすごくハマっていたように見えたのですが……。

小川 キャンプのときから「相手のスキを突け」とか、「ノーヒットでも得点を」という意識は徹底していましたから、「1番の山田が塁に出て、すかさず盗塁を決めて、次の打者で先制する」というパターンがハマるとチームが勢いづくのは確かだし、僕としても理想的な攻撃パターンです。でも、このパターンが成功すると当然相手チームも警戒を強めてきて、そう簡単には成功しなくなる。そこで新しいスタイルを考える。その繰り返しです。

――廣岡大志選手のスタメン起用に関して伺います。オープン戦をフル出場し、「開幕スタメン」を勝ち取った廣岡選手は「7番・ショート」でスタメン出場を続けますが、13日の阪神戦から4試合ベンチスタートで、18日からスタメン復帰しますね。

小川 選手の起用を考えるとき、僕はまず「シーズンを通じた全体的なプラン」を考えます。それは去年のレギュラー選手、さらに故障で離脱した選手も含めた、各ポジションの全体的な構想です。ショートで言えば、昨年は故障に苦しんだものの、やはり一番頼りになるベテランの大引啓次をまずは中心に考えました。ただ、いつまでもベテラン選手に頼るわけにはいかないので、「どうやって若手選手を起用するか?」も同時に考えます。

――まずは大局的に物事を捉えた上で、少しずつ各論に踏み込んでいくわけですね。ショートの場合で言えば、大引選手を中心に据えて、その後に若手の廣岡選手が続く起用を見据えたということでしょうか?

小川 そうです。ショートで言えば、廣岡と西浦(直亨)の2人です。大引の場合は故障を抱えているので、年間を通じて出場することが難しいから、必ずどこかで若手にスイッチする状況が出てくる。それを想定して、キャンプ、オープン戦では徹底的に廣岡と西浦らを競わせ、競争の結果、廣岡が開幕スタメンを勝ち取りました。開幕直後は結果も出て、廣岡も調子がよかったんですが……。

――その後、結果の出ない試合が続きました。

小川 打てないのはしょうがないんです。でも、可能性を感じさせるスイングが見られるうちはよかったのだけれど、そのうちまったく可能性を感じさせないスイングが増えてきた。それに伴って守備のミスも増えてきた。その一方で川端(慎吾)が頭への危険球で退場となったんです。

――4月3日、神宮球場での対広島戦。川端選手は頭部に死球を受けて、試合中に担架で運ばれ、翌日から登録抹消となりました。この死球と廣岡選手と、どんな関係が?

小川 脳震盪による特例措置により、川端が一軍登録を外れたので、代わりにサードで西浦を起用しました。すると西浦はものすごく打撃好調でした。やがて、川端が一軍に復帰してきます。キャンプの段階で「2人を競わせる」と宣言した以上、結果の出ない廣岡に代わって、好調な西浦を使うのは当然のことです。とは言え、「このまま我慢して廣岡を使い続けようか?」という迷いはもちろんありました。

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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