社員成長の決め手は、人事が9割

“ぼっち人事”が、無理せず効果的な採用活動を行うコツ

2024.05.08 公式 社員成長の決め手は、人事が9割 第24回

人材紹介会社や採用代行サービスを活用する

どのような雇用形態であっても、人を採用するとなったら、人材紹介会社とのネットワークをつくりましょう。正式名称は「有料職業紹介事業者」。転職エージェントとも呼ばれる、人を採用したい企業と転職したい人の間に立ち、ベストなマッチングを支援しているサービスです。

大手の転職エージェントになると、採用人数が数名程度の中小企業は相手にしてくれない場合もあります。依頼をしたからといって、必ずしも求める人材を採用できるとも限りません。それでも、人材紹介会社とのネットワークをつくっておくことは必要です。

なぜなら、人を採るのは本当に大変だからです。少子高齢化・人口減少による人手不足は深刻化しており、そもそも人材募集をしても応募者が来ません。来たとしても、求める人材とは限りません。それでも採ろうと思って内定を出しても、応募者から辞退されることも珍しくありません。なんとか入社までこぎつけても、期待通りの活躍をしてくれるとは限りません。

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採用ほど不確実性の高い仕事はない。これが30年以上、人事の仕事をやってきた私の実感です。また、人事担当者の仕事は「採用」だけではありません。給与・厚生、育成・評価など、他にもやらなければいけないことが山ほどあります。「ぼっち人事」の方なら、なおさらでしょう。幸い、近年は便利なサービスが増えています。これらを有効に活用しましょう。

RPO(Recruitment Process Outsourcing)と呼ばれる、採用業務の代行サービスもその1つです。人材採用の有効な手段は年々変化し、効果的な採用手法やノウハウを蓄積することが難しくなっています。そのため煩雑になった採用業務の一部、あるいはすべてをプロにアウトソーシングする会社が増えてきました。こうしたサービスを活用するのも1つの方法です。

その会社で働きたくなるか、自社ホームページを見直す

そして、もう1つの大事なポイントは、自社ホームページの見直しです。人材紹介会社や採用代行サービス、あるいは求人メディアを利用して、自社に興味を持った人は必ず会社ホームページを見に来ます。あなたの会社のホームページは魅力的なものになっているでしょうか?

中小企業のホームページを見ると、必要な情報を記しただけの簡素なものが少なくありません。採用情報も「当社はキャリア採用を実施しています。 あなたの能力・経験を当社にて活かしてください。ご応募、お持ちしております」といった一言と、雇用形態・募集職種・勤務時間・応募資格・昇給・賞与・休日などが書いてあるだけ。そういう会社に応募したいと思うでしょうか?

私たちのクライアント企業には、たくさんの社員をインタビューし、職種ごとに入社理由や仕事内容、やりがい、休日の過ごし方などについて詳しく語った記事や、プロのフォトグラファーに依頼して素敵な写真を掲載した、非常に充実した内容の採用ページを作っている会社もあります。

お給料が良く、安定感もあり、内情を知っていると非常に素晴らしいと思える優良企業であっても、簡素な求人情報しか載せていない会社は、悲しいくらい応募がなかったりします。一方、採用がうまくいっている企業は、会社ホームページも「この会社で働きたい!」と思える魅力的なものになっています。他社を参考にして自社のホームページを見直してみてください。

会社ホームページをちゃんとしたものにしようとすると、100万単位でお金がかかるかもしれません。そこまでやっても、それほど応募者が増えない可能性もあります。それでも今の時代に人を採用するためには、会社ホームページの見直しは必要なのではないでしょうか。

人手不足のこの時代に採用を成功させるためには、社内の人的リソースを把握し「人員計画」を立てる、「採用」か「活用」なのかを慎重に検討する、採用するとなったら人材紹介会社にコネクションをつくったり、採用代行サービスを活用したりする、そして自社ホームページを魅力的にする。これらの取り組みは、最低限必要になるでしょう。ぜひ検討してみてください。

次回につづく

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。
これまで1万人超の採用面接、昇降格面接、管理職研修、階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席しアドバイスを行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立。これまで多くの企業で展開されている。また2009年から続く「人事の学校」では、のべ5000人以上の人事担当者育成を行っている。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎的知識。8つの心構え』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『プロの人事力』(労務行政)、『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』(アルファポリス)、『超ジョブ型人事革命 自分のジョブディスクリプションを自分で書けない社員はいらない』(日経BP)などがある。

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