人事の超プロが教える、リストラ時代を生き抜く戦略

肩身が狭い思いで会社にしがみつくなら、思いきって退職しよう!
50代の転職4つのポイント!

「何」をするかを決めて、「どこ」でできるかを探す

何をするかを決めたら、それができる場所を探す。これが3つ目のポイントです。他社への転職だけでなく、起業や独立も視野に入れて考えてみましょう。

自分がこれまで培ってきたスキルやノウハウを提供することでお金になるなら、起業や独立という道もあり得ます。いきなり退職して独立するのはリスクが高いですが、会社に所属したまま、まずは副業としてやってみる方法もあります。

働き方改革によって、国も「多様な働き方」ができる社会の実現を推進しています。副業を解禁する企業や、週3・週4勤務をOKとする会社も増えてきました。こうした制度を活用して、新しい道を模索してみるのです。

会社にそうした制度がなくても、たとえば「お給料を8割に減らしてもらっていいので、週4勤務にしてください」とお願いして、増えた休日を利用して起業をしたり、他社で副業をしてみて、それだけで生活できるのか様子を見る方法もあります。

最近話題になっている、顧問のマッチングサービスに登録してみてもいいでしょう。役員や管理職だけでなく、自社の課題に合わせた社外の専門家を求めている企業も増えており、長期契約やプロジェクト単位など、さまざまな契約形態があります。

他社に転職したいのであれば、人材紹介会社に登録しましょう。50代のための求人を紹介しているミドル向けの転職サービスもあります。

役職定年をキッカケに少しでも長く現役で働こうと考えている人、今の職務のままでは定年まで就業するのは困難と判断する人、これまで培ってきたことを違う分野で活かそうとする人、そんな50代を活用したい企業も増えているのです。

「東京」にこだわらず、「地方」にも目を向けよう

ただし、転職をするとしたら、お給料は下がると思います。企業規模も小さくなったり、安定感がない会社になったりするかもしれません。東京などの大都市で転職先を見つけるのも難しいかもしれません。だからこそ、視野を広げることが必要です。

東京にこだわらず、地方にも目を向けてみる。これが4つ目の大事なポイントです。近年は地方創生などによって、IターンやUターン、県外からの移住者を求めている自治体や企業が増え、行政による支援制度もあったりします。

東京で転職するのは難しくても、地方にはニーズがあります。
何をするかを決めて、どこでその仕事ができるかを探す。それができるのであれば、場所や地域にこだわらない。50代の転職には、それくらいの覚悟が必要です。

転職するのであれば、「これ以下だと生活できない」という最低限の収入を決めておきましょう。「私は年収800万をもらっているので、800万は維持したいです」では、転職は困難。「550万なら何とかなるかな」「マンションを売って地方に移住すれば、年収400万でもいけるかな」、そうした発想の転換が必要です。

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東京から地方に移ったら年収は下がるかもしれませんが、生活費だって下がります。そこでやりたい仕事ができるなら、十分楽しく暮らせるはずです。

ただ単に人材紹介会社に登録してもスカウトの話は来ないかもしれませんが、地方なら話は別。できる業務や勤務地の幅を広げれば、スカウトが来る確率も高まります。

2021年度は、県外からの移住者数が過去最高を記録した自治体が数多くありました。コロナ禍やテレワークの浸透によって地方に移住する人が増えています。

あなたを求めている地方や企業もきっとあるはずです。肩身が狭い思いで会社にしがみつくより、視野を大きく広げて、新しい働き方・生き方を探してみませんか?

次回につづく

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。
これまで1万人超の採用面接、昇降格面接、管理職研修、階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席しアドバイスを行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立。これまで多くの企業で展開されている。また2009年から続く「人事の学校」では、のべ5000人以上の人事担当者育成を行っている。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎的知識。8つの心構え』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『プロの人事力』(労務行政)、『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』(アルファポリス)、『超ジョブ型人事革命 自分のジョブディスクリプションを自分で書けない社員はいらない』(日経BP)などがある。

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