50代のリストラ対策のひとつは、若手の指導です。
「あの人、若手を育てるのがうまいよね」「あの人に預ければ、育ててくれるよね」と社内で評判が立つのは、リストラを防ぐ有効な手立てとなります。
逆は、やっぱり危ないですから。人を育てられなければ、管理職から外されますし、外された後でも「あの人のところに若手を預けると辞めるんだよね」「人を任せられないよね」といった悪評が立つと、リストラの要因にもなりかねません。
たとえ管理職でなくても、「俺は部下がいないから育てる相手はいねえんだよ」みたいな態度はNGです。指導の機会があれば、自ら率先してやるべきでしょう。
人材育成は、私たちの世代の重要な役割です。管理職であってもなくても、若手の指導機会があるなら有効に活かして育ててほしいですね。
では、若手の指導を上手に行うには、どうしたらいいのでしょうか?
今回は、人材育成の5つのポイントについてお伝えします。
人材育成で重要なのは、次の5つの要素に分解して考え指導することです。
①キャリアビジョン
②ライフビジョン
③コンピテンシー
④スキル・ナレッジ
⑤モチベーション
①キャリアビジョン
まず大事なのは、相手のキャリアビジョンを確認すること。その若手は3年後、5年後にどうなりたいのか。ここから始めないと、指導の方向性がズレてしまいます。
たとえば、経営者になりたいのか、スペシャリスト(専門職)になりたいのか。本人の意向によって育て方も変わってきます。その認識がズレていると、「こういう人材に育てたい」と思って指導をしても、その時点で話が噛み合いません。
まずは本人に「どうなりたいのか」と聞いてみて、「こうなりたいんです」というキャリア上の目標があるなら、そのために必要なことを伝える。
ただし「なりたいものがありません」という若手も多くいます。そういう場合は、会社の等級制度を活用しましょう。相手が2等級だったら「3等級を目指そうぜ」、3等級だったら「4等級を目指そうぜ」と具体的な目標を示してあげる。
等級制度は会社が望むキャリアステップです。「今は2等級だけど3等級になってチームをまとめられるくらいになろうか。どう思う?」と本人の意志も確認しながら、その意向に合わせた能力開発をしていく。これが人材育成の基本となります。
②ライフビジョン
もうひとつ確認しておきたいのは、ライフビジョンです。その若手は、どんな人生を送りたいと思っているのか。私生活にあまり深入りする必要はありませんが、仕事に関係しそうな重大なプライベートの情報は知っておいたほうがいいでしょう。
たとえば、親の介護があるとか、子供が生まれるとか、そうしたプライベートの事情は、働き方に大きく影響してくる場合があります。
「何か仕事に関係するプライベートなこととかライフイベントがあったら教えて」と伝えて、それも考慮に入れた指導をしていきます。