50代になると、地位の格差、立場の格差などが開いてきます。しかし役職の有無や、組織やチームの規模を問わず、リーダーシップが求められるようになります。
では、リーダーに求められる資質とは、どのようなものでしょうか。
私は企業のリーダー研修プログラムで「目指すべき人材像」を5つのポイントに分けて紹介しています。OK例とNG例を交えながら説明しましょう。
①指向性
NG 明確な将来への志向が持てていない
OK この会社を担っていくという明確な志向を持つ
部長や役員クラスは、組織の3年後、5年後の姿を見据え、戦略策定を行うことが重要な任務です。中長期的な視野を持ち、多角的な視点を用いて、事業のビジョンを明示する。数年後のあるべき姿を描き、示す。部下やメンバーに方針を示し、組織の向かう方向を明らかにする。戦略を具体化し、実行の責任を負う。
部長や役員などの役職についていなくても、組織やチームの目標を設定し、正しく周囲に働きかけ、個人目標にブレイクダウンし、個々の適切な目標設定をさせることは、50代における重要な任務です。
自身が明確な志向を持っていなければ、部下やメンバーを率いていくことはできません。3年後、5年後に、自分はどうなっていたいのか。どのような組織やチームにしていきたいのか。キャリアビジョン、ライフビジョンを明確にすることが重要です。
②意志
NG 「会社は私にどうして欲しいのか」を求める
OK 自分事と捉え、ゴールと貢献を探す
NG 失敗する(できない)から無難に維持したい
OK 変化の必要性を現実的に体感し、あらゆるチャンスとリスクを想定する
NG 影響力は組織上の部下に対して発揮する
OK 上司・他部署・他社など、領域の外に、より影響を与えようとする
50代になっても、主体的な行動をとらず、人からの指示を待っている。目標と現状のギャップや問題点を把握し、改善しようと務めていない。社内外のキーパーソンとの人脈を築こうとせず、内向きの発想しかしない。
このような50代は、リストラされてしまいます。
指示を持たず「こうしたいのですが、いいですか」と上司や周囲に提案と確認を行い、自ら行動する。問題の解決案を複数提案し、各々のメリット・デメリットや予想される結果を示す。社内外の一定以上の役職者や関連する業界の社内外ネットワークを築き、多彩な人脈の中からビジネスの可能性を探る。
リストラされない人材になるためには、こうした指向性を持つことが重要です。
③考え方
NG 目の前の仕事に注力し、中長期的に事業を見る視点が形成されていない
OK 中長期的視点で本当の課題を探る
NG 課題を明確に決められない
OK 仮説を立てて課題をセットする
NG 自身の立場での意見に終始する
OK 立場を変えて多角的に考える
NG 「トレードオフ」「ケースバイケース」で止まる
OK 優先順位をつける。ビジネスプロセスの体系化を行う
NG 「理解してもらえない」と考えている
OK 理解してもらえないのは自分のせいだと考える。ロジカルで説得力がある
NG 「自分では解決できない」「他者がやるべきである」と考えている
OK 自らが周囲を巻き込んでいく必要性を感じている
NG例は、リーダーとして相応しくありません。OK例は経営陣になれるほど高度なものですが、リーダーを務めるなら、やはり持っておきたいスキルです。
例えば、多くの人は「トレードオフ」「ケースバイケース」の発想で終わってしまいます。「それをやるのならこれはできません」といったトレードオフではなく、優先順位をつけて物事を提案する。ケースバイケースではなく、自分が培ってきたマネジメント力や専門性を体系化し、普遍的な仕組みに落とし込み、成功する道筋を示す。
多角的に物事を見て、ビジネスプロセスを体系化し、自ら周囲を巻き込んで実行する。
リーダーに求められているのは、こうした考え方です。この6項目について、自分はどうなのか、振り返ってみてください。