あなたは、人を育てることが得意ですか?
マネージャーなら、または今後マネージャーを目指すなら、人材育成は必ず求められるスキルです。その上手・下手によって評価が決まり、今後のキャリアにも大きく影響してきます。今回は、人材育成の大事なポイントについてお伝えします。
マネージャーに求められるものは、大きく分けて2つあります。
ひとつは、チームのPDCAを回す「タスクマネジメント」。
もうひとつは、人を育てる「ヒューマンマネジメント」です。
マネージャーとは、小単位の組織を率いる、あるいは自己の専門性を活かしながら、周囲を巻き込むレイヤー(階層)です。
否応なく「自分ひとり」では済まされません。周囲への影響力を発揮しながら、成果に責任を持てるレベルであらゆる判断ができなければ、任せてもらえません。
昨今、特に求められているのは、ヒューマンマネジメントのスキルです。少子化による採用難、リモートワークによるコミュニケーションのあり方の変化などによって「1on 1」の導入が推奨されるなど、先進的な企業ほど人材育成に力を入れています。
若手が辞めないよう積極的に寄り添い、悩みを聞き、コミュニーケーションを深め、能力を最大限に引き出す。
マネージャーには、今こうした行動が強く求められています。「そんなことをしている時間はない」と口にする管理職も少なくありませんが、それではマネージャー失格です。人事の立場からすると、そういう人は管理職から外れてもらうしかありません。
とはいえ、人材育成は非常に難しいスキルであるのも事実です。
そして「仕事ができる人」ほど、実は苦手な傾向があります。
人事評価を決める評価会議などに立ち会っていると、
育成上手な人と育成下手な人は、見ていてはっきりわかります。
その違いとは、「人への関心度合い」の高さです。
育成上手な人ほど、部下の評価に悩んでいます。「なんであいつはこんなことをするんだろう?」「なんでこんなことを言うんだろう?」「どう伝えたらいいんだろう?」と、一人ひとりについて考え、その理由を分析し、悩み、そしてフィードバックの内容を考えたうえで、本人に伝えています。
一方、育成下手な人は、そもそも部下に関心がありません。
極端な例としては、部下の人事評価がすべて同じ「A」だったりします。
「可もなく不可もなく!」という評価です。これ、実は最悪です。
どう考えても、チーム全員が同じ評価なんてことはあり得ません。
しかし、ある部下を本当は「B」と評価していても、
その理由を考え本人に伝えるのは面倒なので「それなら全員Aでいい」と、
いい加減な評価をつけてしまったりするのです。
それでは、部下は自分の改善点に気づくことができず、成長できません。
まずは、部下に興味関心を持つ。
そして、3〜4年先までのキャリアビジョンやライフビジョンを一緒に考えて、
どう実現するのか話し合い、能力を伸ばす方法を考える。
人事評価も適切に行い、伸ばすべき点と改善すべき点を明らかにし、
一人ひとりに対して、丁寧にフィードバックする。
マネージャーに必要なのは、こうした行動です。
特に大切なのは、「部下が目指すもの」を明らかにすること。
目指していないことに対して、あれこれ言っても部下の頭には入りません。
そして、当然ながら部下も能力を伸ばそうとは思いません。
「3年後、5年後には、こうなっていようぜ!」という目標を
上司と部下で共有し、本人がわからない場合は、一緒に考える。
その目標に向かって「ここはできてるね」「ここは足りないね」と
アドバイスを続けていく。これが人材育成の基本です。
ただ、こうしたプロセスをきちんと踏んで、
人を育てていくのは、簡単なことではありません。
手間も時間もかかります。
だからこそ、人への関心度合いが重要になってくるのです。