仕事ができる人が、人材育成も得意かというと、
実はそんなことはなく、むしろ苦手な人が多く見られます。
仕事ができる人は、できないことが信じられません。
できない人の気持ちもわからないため、
「なんでできないの?」などと言いがちです。
しかし、これは人材育成におけるNGワード。
できる方法を一緒に考えるのが、マネージャーの仕事です。
また、教えるよりも、自分でやったほうが手っ取り早いため、
部下がやるべき仕事を奪ってしまい、
成長の機会損失をさせてしまうケースも少なくありません。
マネージャーに昇格するのは、エースで四番が多いため、
こうした矛盾が生じやすいのです。
日本では、ほとんどの管理職がプレイングマネージャーです。
自分の成績も上げながら、部下も育てるというのは無茶な注文ではありますが、
マネージャーである以上、育成上手も目指さなくてはなりません。
自分ができることを、どう分解し、どう論理立てて教えられるようになれるかが、
プレイヤーからマネージャーになるときの大きな壁になります。
まずは、部下に興味関心を持つこと。
そして、ティーチングとコーチングを使い分けることを
意識していきましょう。
「ティーチング」とは、答えを教えてやってみさせること。
「コーチング」とは、相手から答えを引き出すことです。
部下を育てるためには「こうやるんだよ」と答えを教えることも大切ですが、
「どうしたらいいと思う?」と自分で考えさせることも重要です。
人材育成が苦手な人は、ティーチングはできても、
コーチングができなかったりします。
特に仕事ができる人ほど、部下に自分で考えさせることが不得意だったりします。
自分にとってはわかりきった答えでも、そこを我慢して、
「どうしたらいいと思う?」と考えさせる。
部下が間違ったことを言ったときでも、
「こうやってやればいいじゃん」とすぐに正解を教えない。
「もっといい方法があるんじゃないかな?」
「そもそも、この目的って何だっけ?」
そんな風に声をかけながら、最低限の軌道修正だけをして、
本人に考えさせていくことが大切です。
ティーチングもコーチングも、多くの専門書が出ています。
マネージャーは、答えの教え方も、引き出し方のスキルも必要です。
こうした勉強は、一度きちんとしておいたほうがいいでしょう。
そのうえで、仕事ができる「かっこいい姿」を見せましょう。
上司が「ああなりたい」と思える人でなかったら、部下は成長する気になれません。
いつもツラそうで、しかめっ面をして、グチを言っているだけの管理職だったら、
コーチングをしても、うっとうしいだけです。
余裕がなくても、余裕があるように見せる。
どんなに忙しくも、部下の話を聞く時間をちゃんとつくる。
楽しそうに、かっこよく仕事をしている姿を見せるだけでも、
部下の育成につながります。
ただし「背中を見て育て」だけでは通用しないのが、今の世の中です。
ティーチングとコーチングも使い分け、育成上手を目指しましょう。
それが、自身の成長や評価にもつながります。
次回に続く