では、今回のお題はこちらです

この宣伝美術のミーティングはいつも刺激的です。ノゾエさんが持参するのは、作品のタイトルと、STORYのちょっとした題材のみ。僕はこのミーティングでの言葉のやりとりが大好きです。
「ノゾエさんの言葉をどうやってポスターやフライヤーにビジュアルイメージとして落とし込んでいくのか？」
これをはえぎわに相応しいビジュアルクリエイションで世に提示していく、という視点で毎回楽しく考えているのです。

ちなみに今回の作品タイトルは『其処馬鹿と泣く』。最初に聞いたときは、その世界のイメージがつかめずポカ～ンとしてしまいました。しかし「キャストは11名」というお題の中でいくつものアイデアを出し、最終的に、役者が密着して一列に並び、揃ってこちらを向いているという不思議なビジュアルが完成しました。

未知なる体験NOW！

今まで、劇団というものの内側に入り込んで制作をしたことがないので、部活というか、家族というか、そのような「チーム一体」となって今を、時を、場を作っていく過程がものすごく新鮮です。
コスメティッククリエイションを終えて、稽古場で役者達の稽古を見ていると、「なんて贅沢な時間なんだろう」とつくづく感じてしまいます。
ノゾエさんの脚本・演出、そして役柄を演じる役者達を目の当たりにしながら、美術空間の場をイメージして「彼女には、彼には、こんな色の衣装やアイテムを着せてみたい、持たせてみたい」と想像する……そんな、自分にとって新しい「創る」という行為に励んでいます。というか、翻弄されています。

リスペクトだからこそ♥大好きだからこそ♥

大好きな劇団、そして演出家だからこそ、その作品にリスペクトがあります。そのため、クリエイターとして作品づくりに関わることを、はじめはとても躊躇しました。人様のテリトリーに土足で上がることが嫌だったのです。だって僕、濃厚ですから……。

そんなわけで、クリエイティブのお話をいただいた当初は、かなり興奮しつつも「果たして自分自身に納得のいくものを、創れるか？」と非常に不安でもありました。
でも、好きなテイストの方々ですから、互いの根底にある創り手としてのフィーリングは同じはず。そう思い、「こんなチャンス★はもう２度と来ないかも！」という考えに至って引き受けさせていただくこととなり、ただいま一緒にクリエイティブ絶賛進行中であります。

今日もただいま、僕、挑んでいます

今日も稽古場です。なぜか当たり前のようにここにいる自分に、ちょっと笑えます。
目の前で、僕の制作したコスチュームを着た役者の皆さんが練習に励んでおられます。嬉しいです。
自分の創ったコスチュームが、役者さんの台詞や動きとともに、あんな風にもこんな風にもなるんだな、と客観的に見ることができるのが、とても嬉しい。どうぞ皆さん、コスチュームを使い倒してください。
あ～嬉しい♥そうです、これ、これがやりたかったのであります。

さて現在このように、巻き込まれています。公演本番を迎えるまで、この日々が続く予定です。
その本番である８月27日は、僕にとっても新しい表現の開幕の日です。残すところ数日ですが、まだまだノゾエさんの頭は走っています。僕もクリエイターとして、一緒に走っていくつもりです。

毎日、ソワソワドキドキ。
自分の創造性の新しい幕を開けるべく、ただいま、絶賛NEWクリエイションに挑んでいます。
本番の日が、今からとても楽しみでしかたありません。

本連載が書籍に？　資生堂アートディレクター成田久氏が、銀座一丁目の森岡書店にて「ププププレゼン力」展を開催中！　2017年12月19日（火）～28日（木）まで。詳細はこちら