10時から始まった2時間のインタビューは、あっという間に終了。すごくいい雰囲気での取材だったので、インタビュアーの女性はちょっと名残惜しそうです。でも、この後の僕の講演も聞きにきてくれるそうで、帰り際に「楽しみにしている」と言ってくれました。
その後は炎天下のもと、写真撮影に。う~む、お国柄なのか、なかなか不思議なポーズをリクエストされ……「ちょっと大丈夫?」と不安がよぎります。僕はアイドルではないので。そんなこんなで、撮影も何とか終了。
さてと……次はいよいよ今回のメインイベント。講演モードに、気持ちをスイッチします。プレゼン資料は前もって作成し、何度か読み返して流れは頭にインプット済みです。そのため緊張はないのですが、何とな~く、足元がふわふわする感じがします。
僕は講演に臨むとき、聴衆に対する一種のエンターテインメント、パフォーマンスだと考えるようにしています。and自分自身も、その時間、その場を楽しもうと決めています。
初めて人前で講演をしたのは、確か10年前以上も前のこと。「光」をクリエイションしているLIGHTDESIGN INC.の東海林弘靖さんをはじめ、照明デザイナー5名が主催する「円卓会議・照明学会」のトークイベント『LIGHT DE NIGHT 10×10』に、資生堂のクリエイターとして出演をオーダーされたのがきっかけでした。
依頼を受けた当初は、「光? 光? 光ねぇ~? 何を話そうか。光について深く考えたこともないし……」と戸惑いもしたものの、すぐに思いついたのが、当時アートディレクターとして担当していたヘアケアブランドのMACHERIE。
その頃のブランドコンセプトが「光のマシェリ」だったので、ブランドイメージのクリエイティブについて話そうと提案しました。
そのときの講演会場は、五反田のデザインセンター。お客様は会場に入れないくらい満員御礼状態でした。プレゼンターの時間はたった10分。さすが光のクリエイターだけあって、演出もユニークで素敵であります。
何人かのプレゼンターが話し終えて、とうとう自分の番……手に汗握りながら、スポットライトの下へ。大聴衆の興味津々な視線が僕に集まります。
ヤバイ……背中を汗が流れるのがわかります。あ、僕、テンパってる。用意してきた映像を流しながら喋るのですが、気持ちにMAX余裕がなく、イニシアチブが取れない自分に焦ってしまう。早口になっているのがわかっていながら、自分を止められない……。
あ、まだ時間は残っているのに、もう話が終わってしまう。どうしよう……。僕は「フィナーレのゴングよ、早く鳴ってくれ!」と心の中で叫んでいました。
カーンカーンカーン、終了。
何もかもが終わった。失敗だわ、俺。駄目じゃん、俺。さぁーっと気持ちが覚めていき、自分に落胆しました。そんなわけで、「早く帰りたい」と打ちひしがれていたのですが……。