話しやすい人になれば人生が変わる

残念な人がやりがちな「会話のNG行動」

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ポジティブな意見も慎重に

一方で、相手がネガティブな発言をしたときはどうでしょう。たとえば、相手が「うちのパートナー(彼氏や彼女)、わがままで最悪なんだよ」と言ったとします。あなたはどのようなリアクションを返しますか?
「いやいや、いい人じゃん」と答えるでしょうか? それとも「ほんと、そうだよね」「別れちゃいなよ」と答えるでしょうか?

私なら、どちらも言いません。相手が単に愚痴りたいだけなのか、別れに向けて気持ちを固めたいのか、実はのろけたいのか、真意がわからないし、相手の恋愛事情に責任を持つことはできないからです。
相手が何か言ったら必ず何か意味のある返事をしなければいけないなどという法律はないのですから、よほど明確なレスポンスを求められない限り、そういうときは余計なことは言わず、ただ相手の言葉に耳を傾けるだけにとどめておきましょう。それが話しやすい人と思われるコツです。

特に、ネガティブな発言に対し、あまりにもポジティブなレスポンスをしすぎるのも考えものです。「この間、仕事でこんな失敗をして……」「こんなうるさい上司がいて……」「恋人にこんなダメなところがあって……」といったように、愚痴や悩みなどをこぼしたくなるときは、ほとんどの人にあるはずです。しかしそんなとき、「また次に生かせばいいよ」「えー、でもちゃんと注意してくれるなんていい上司じゃん」「恋人いるだけ幸せじゃん」などと、最初から最後までひたすらポジティブな言葉を返されたらどうでしょう。「前向きな気持ちになった! この人に話してよかった」と思うでしょうか? イライラして、「この人にはもう、愚痴や悩みは言わないようにしよう」と思うでしょうか? 私は後者です。そして、おそらく多くの人がそうなのではないかと思います。
人が愚痴や悩みをこぼすのは、基本的には相手に共感や同情を求めているときです。事情もよく知らず、性格も異なる人に中途半端なアドバイスをされるより、ただ聞いてほしいだけ、ということもしばしばあります。

もちろん、アドバイスを求められたときや、相手から励ましてほしいという要望があったときは、話をていねいに聞いたうえで、一言二言、ポジティブな言葉を返すといいでしょう。その際も、自分が言いたいことを言うのではなく、もし自分ならどんな言葉をかけてほしいかを考えると、(もちろん人それぞれ性格が違うので、必ずしも同じ言葉を相手が欲しているとは限りませんが)正解率は高まるのではないかと思います。

なお、よく「でも」「だって」は禁句、と言いますが、「でも」「だって」の後に相手の望む言葉を言うのであれば、別にかまいません。
たとえば、相手が「自分には才能がないから……」と言ったとします。こういう場合、相手は否定してほしいと思っている可能性が非常に高いので、「いや、でも、あなたはあんなすごいことをやったじゃない」といった具合に、きちんと反論してあげましょう。

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プロフィール

村本篤信
村本篤信

1972年大阪府生まれ。都立国立高校、一橋大学社会学部卒業。大日本印刷に入社後、フリーのライター、編集者に転身。 『3000円投資生活』シリーズ(アスコム/横山光昭)をはじめ、累計250万部以上 の書籍を手がけたほか、取材記事、社史などのライティングを行い、2021年には『ロジカルメモ』(アスコム)を刊行。 2012年に「テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞」優秀賞を受賞して以降は、ドラマや舞台の脚本も執筆。 一方で、90年代よりホラー系ドラァグクイーン「エスムラルダ」として、各種イベント、メディア、舞台公演などに出演し、2018年からは及川眠子・中崎英也のプロデュースにより、ディーヴァ・ユニット「八方不美人」を結成。エスムラルダ名義でのコラムや書籍のライティングも行っている。

著書

話しやすい人になれば人生が変わる

話しやすい人になれば人生が変わる

村本篤信 /
話しやすい人になれば、人づきあいも、仕事も、初対面も、出会いも、家族もぜん...
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