話しやすい人になれば、人づきあいも、仕事も、初対面も、出会いも、家族も、すべてがうまくいくようになります。しかも、ちょっとしたコツを押さえるだけで大丈夫。だれでも、いますぐ、カンタンに、話しやすい人になれます。人の輪が広がり、情報が集まり、仕事がスムーズに進み、人生が楽しくなる――こうした話しやすい人が得ているメリットを手に入れ、人生を前向きに変えましょう!
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話しやすいと思われるための表情や視線についてお話しします。
私は25年前から、時折、新宿にあるバーのお手伝いをしているのですが、その際まず大事にしているのが、特に初対面のお客さんに対し、
「私はあなたの敵ではない」
という雰囲気を、全身で表現することです。
バーのマスターの中には、毒舌を売りにしている人がいますし、バーでもカフェでも、愛想のいいマスターより、ぶっきらぼうなマスターのほうが信頼できるというお客さんもいます。
しかし、もともと八方美人気質な私がそのキャラで売るのはハードルが高すぎますし、ただでさえストレスを抱え、傷つくことに臆病になっている人が増えているように思われる昨今、やはり安心して楽しく過ごせることをお店に求めるお客さんのほうが多い気もします。そのため私は、できるだけお客さんに「話しやすい」「ホッとする」と思っていただけるような接客を心がけています。
では、具体的にはどのようにすれば、初対面のお客さんにも、話しやすいと思ってもらえるのか。私が日頃、実践しているのは次の3つです。
① ゆっくりと話すこと
② 口角を上げること
③ 相手と適度に目を合わせること
①については、第31回「初対面の印象が最高な人が、じつは陰でやってること」で、すでにお話ししているので、ここでは②と③について、詳しくお伝えしましょう。
まず、②について。口角を上げる目的は、やわらかい表情を作ることにあります。
表情はその人の印象を大きく左右します。キリッと引き締まった表情の人も魅力的ですが、やはりやわらかく穏やかな表情の人のほうが、ほかの人からは話しやすいと思われやすいはずです。
しかし、常に上機嫌でいられれば、自然とやわらかい表情になるかもしれませんが、人生、そんなときばかりではありません。また、もともとの顔立ちがキリッとしすぎていて、「怒っていないし、真面目な顔をしているだけなのに『怒ってる?』とよく言われる」という人もいるでしょう。
口角を上げるという技は、それほど上機嫌でもないときや、キリッとしすぎている顔立ちの人に、特におすすめです。もちろん、ずっと口角を上げ続ける必要はありませんが、初対面の人に会う瞬間、相手が何か楽しそうな話をしているときなど、ポイントポイントで口角を上げ、なんとなく微笑んでいるように見える表情を作りましょう。
「口角だけ上げても、単に目が笑ってない怖い人にならない?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。たしかに目の表情は大事ですが、目の表情をやわらかくするためにも、口角を上げる必要があります。
鏡を見ながら、表情を作ってみてください。口元はそのままで、目だけを笑わせることができるでしょうか?
おそらく、かなり難しいはずです。口角を上げたほうが、目も笑わせやすくなるのです。
また口角を上げると、表情筋の動きを脳が察知し、「今、自分は笑っている。つまり自分は楽しい気分なのだ」と錯覚して、心身を安定させ、幸せを感じやすくする働きを持つセロトニンやエンドルフィンなどの脳内物質を分泌するため、本当に楽しい気分になってくるともいわれています。
実際、私はお店が急に混んできて焦ったときや、原稿の締め切りが迫ってきて精神的に余裕がなくなったときなど、意識して口角を上げるようにしているのですが、たしかに心が落ち着き、「なんとかなる」という気分になる……ような気がします。
脳を錯覚させすぎるのはよくないという説もあるので、乱用はおすすめしませんが、人にいい印象を与えたいときや自分の気持ちを落ち着かせたいときには、ためしに口角を上げてみてください。