相手に話しやすい人だと思ってもらえるよう、緊張しがちな場面で自分自身をリラックスさせる方法についてお話ししてきました。では、ピリピリした雰囲気を感じさせないためにはどうしたらいいのでしょう。
相手に腹を立てていて、不快な思いをさせたい、威圧したいということであれば、そのままでもかまいませんが、まったく関係ないことでイライラしている場合、その感情をコントロールできるようになることも、話しやすい人になるためには必要です。
もしあなたが何かにいらだっているのなら、やはり深呼吸をすることをおすすめします。そのうえで、できるだけゆっくり話すように心がけてみてください。自分が「ゆっくりだ」と感じるスピードより、さらにゆっくり話すのがポイントです。
取材時の音声や、ステージやメディアで自分が話している声を聞くたびに思うのですが、体感は意外とあてになりません。自分ではゆっくり話しているつもりでも、他人の耳にはまだまだ早口に聞こえる、ということがよくあります。
ゆっくり話すと、そのペースに心が引っ張られて、気持ちも落ち着きます。それだけで、相手にピリピリ感が伝わりにくくなるはずです。
ゆっくり話すと相手から、落ち着いた人、おおらかな人、優しい人と思われやすく、相手に安心感を与えるというメリットもあります。
早口で話す人、まくしたてるように話す人は、頭の回転が速い人、はきはきした人と思われやすく、話術がともなえば、楽しい人、面白い人と思われることもありますが、相手を緊張させたり、軽薄な人という印象を与えたりすることも少なくありません。
さらに、こちらが早口だと、相手は話すタイミングを見つけづらく、聞き逃しや聞き間違いなどが発生しやすいというデメリットもあります。
自分は早口だ、焦ったり緊張したりすると早口になりやすい、という自覚がある人、あるいは、自覚はなくても何かを話したあとでよく聞き返される人、「もうちょっと落ち着いて話して!」とよく注意される人は、話をするとき常に、
● 相手にきちんとていねいに伝えようという意識を持つ
● 口を開く前に深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる
● 自分が「ゆっくりだ」と感じるスピードより、さらに一段ペースを落として話す
● 文章に読点「、」を入れるのと同じような感覚で、話の途中にちょっとした間を置く
といったことを心がけるといいでしょう。
もっとも、ゆっくり話しすぎるのも、ときには人をイライラさせてしまいます。
話すときの適切なスピードは、一般的に1分間で300文字話す速さ、キャスターがニュースを読む速さだといわれています。
自分の話すスピードがどの程度なのか、一度計ってみるといいかもしれません。