真中流マネジメント

伊藤智仁投手コーチが語る真中ヤクルト②
~燕伝説の投手が、投手陣の育成で常に心がけていること~

2017.07.14 公式 真中流マネジメント 第31回

選手たちと接する際にいつも心がけていること

36名もの投手たちの状態を把握し、
投手全体をマネジメントする役割

こんにちは。東京ヤクルトスワローズの一軍投手コーチ・伊藤智仁です。投手コーチとして今年で14年目を迎えています。今年からはベンチ内で真中監督の隣に座り、監督と相談しながら先発ローテーションを考え、継投を判断するなど、投手起用に関するほぼすべてのことを任されるようになりました。前回は、僕の考える「監督との接し方」をお話したので、今回は、「選手たちとの接し方」について述べていきたいと思います。

監督がチーム全体をマネジメントする役割だとしたら、一軍投手コーチというのは、投手全体のマネジメントを担当する役職です。現在チームに所属する全36投手(育成選手含む)のコンディションを把握して、長いシーズンを戦い抜くための投手マネジメントを行っています。36人もの投手がいればそれぞれ性格も違えば、実績も能力も違う、故障やリハビリなどのコンディションも違います。これらのことをすべて把握して、監督にいつでも正確な情報を伝えられるようにするのが僕の主な役目です。

これだけの多くの投手を理解、把握するために、僕の場合はキャンプからオープン戦の段階で、全投手をそれぞれA~Eまでの5段階に分けてランク付けをしています。

A……主力(年間を通じて働いてもらわなければならない投手)
B……若手のホープ(もう少し伸びればAに移行できる投手)
C……一軍半(年間を通じて一軍で活躍するのは難しいけれど、役割を与えれば力を発揮できる投手)
D……二軍(まだまだ実力が足りず、数年後の飛躍を期待する投手)
E……育成(リハビリ中、もしくは投球以前に身体作り、プロの生活に慣れる必要がある投手)

一軍の試合で登板するのはA~Cの投手ですから、僕は常に彼らの動向に注意しています。また、D~Eの投手については、前回お話したように二軍監督や二軍投手コーチとの密な連携で情報を得ています。時間があるときには二軍練習場のある埼玉・戸田まで足を運びますが、シーズン中は足しげく通うことはできません。そこで、二軍の高津臣吾監督とは週に2~3回は連絡を取るようにしています。こうしてすべての投手の状態を把握し、監督が欲する情報をすぐに提供できるようにしています。

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プロフィール

真中満
真中満

1971年栃木県大田原市出身、宇都宮学園高等学校を経て日本大学卒業後1992年にドラフト3位で東京ヤクルトスワローズに入団。
2001年は打率3割を超えリーグ優勝、日本一に貢献。2008年現役を引退。
2015年東京ヤクルトスワローズ監督就任1年目にして2年連続最下位だったチームをセ・リーグ優勝に導く。
2017年シーズン最終戦をもって監督を退任。

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