真中流マネジメント

三木肇ヘッドコーチが語る真中ヤクルト③
~選手とは常に本気で向き合うことが大切~

2017.06.09 公式 真中流マネジメント 第29回

選手と接する際にいつも心がけていること

監督よりも、「選手寄り」であることを意識
選手に求めるのは「明るい中の厳しさ」

こんにちは。東京ヤクルトスワローズのヘッドコーチ三木肇です。第27回では組織のナンバー2である「ヘッドコーチの役割」について、第28回では「監督と接する際に心がけていること」を述べさせていただきました。そこで今回は、「選手たちと接する際に意識していること」を考えてみたいと思います。

これまでお話したように、ヘッドコーチというのは、監督とコーチや選手との間に立つ「パイプ役」であり、会社で言えば、上司と部下との間で、あれこれ気を揉む中間管理職のような立場です。しかし、一概に「選手」と言っても、今年37歳の石川雅規もいれば、高校を卒業したばかりのルーキー・寺島成輝のような10代の選手まで様々です。僕は今年40歳になりましたが、石川とは年の近い兄弟のような存在である一方、寺島から見れば世代の離れた遠い存在に思えるかもしれません。

先ほど、「ヘッドコーチとは中間管理職のようなもの」と言いましたが、上司である監督と、部下である選手とでは、それぞれ接し方は異なりますが、基本的には「“選手寄り”でいたい」と、僕は考えています。なぜなら、選手の野球技術が向上したり、人間的に成長したりすることが、監督のサポートとなり、ひいてはチームのためになると考えるからです。これは、会社で言えば、「部下の立場に立つことが、結果的に上司のため、会社のためになる」という考えです。ルーキーであろうと、ベテランであろうと、「選手寄り」であることには変わりません。

ここで誤解しないでほしいのは、「選手寄り」であるのは間違いないけれども、それは単に「甘やかす」ということではありません。僕の場合は、むしろ厳しい態度で接するようにしています。選手たちにいつも言っているのは、「明るさの中に厳しさを忘れて欲しくない」ということです。

子供の頃から野球に携わりプロ野球選手になったのだから、野球が大好きなはずです。でも、野球を職業にした以上、単に楽しむことは許されず、難しさやしんどさ、そして厳しさや結果を、我々プロ野球選手は求められるようになります。その結果、明るさが失われ、ストイックに野球を続けるようになったりもします。しかし、チームワークを緊密にするためには、暗いよりも明るいムードの方がいい。つまり、明るさと厳しさ。僕が選手たちに求めていることは、そういう姿勢なのです。

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プロフィール

真中満
真中満

1971年栃木県大田原市出身、宇都宮学園高等学校を経て日本大学卒業後1992年にドラフト3位で東京ヤクルトスワローズに入団。
2001年は打率3割を超えリーグ優勝、日本一に貢献。2008年現役を引退。
2015年東京ヤクルトスワローズ監督就任1年目にして2年連続最下位だったチームをセ・リーグ優勝に導く。
2017年シーズン最終戦をもって監督を退任。

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