「ありのままの自分がわからない」「恋愛関係でいつもつまずく」……そういった悩みの原因の大半は、自分の外側ではなく、自分の内側にあります。心の中で迷子になっている本当の気持ち(=未処理の感情)が引き起こしているのです。等身大の自分を受け入れて、ラクに生きたいと思いませんか? 本連載では、アルファポリスより好評発売中の『そろそろ『わたし』でいきていく ~今日から自分を好きになるために~』(城ノ石ゆかり)から一部を抜粋し、そのヒントをお届けしていきます。
私たちは恋をすると、好きな人の好きなものを知りたい欲求が湧きます。
その人の好みの服を着て褒められたり、恋人の趣味の世界を知ったりすることは、恋愛初期においてはとても新鮮でワクワクすることでしょう。
それに、相手の価値観を受け入れてあげると大概は喜ばれます。だからもっと喜んでもらいたい、期待に応えたいと相手の色にどんどん染まっていく人も少なくはないのです。
こうした戦略は、恋愛初期においては確かに有効な場合もありますが、ふたりの関係を長期的に考えたとき、取り返しのつかない不具合を生んでしまう可能性もあるのです。
なぜなら、なんでも「恋人」というフィルターを通して選択してしまうので、自分の価値観は常に無視されていることになります。
すると恋の幻が薄れていくころ、ふたりの関係に「何か違う」「何かが足りない」といった漠然としたモヤモヤを感じるようになるのです。
最初は無視できるくらいの小さなモヤモヤだったとしても、それを見て見ぬフリして関係を続けていると、いつしか「自分」が見えなくなってしまいます。
夫婦関係について、興味深い話を聞いたことがあります。
「夫婦という関係性においては、100の満足度をふたりで分け合っている」というものです。
たとえば夫婦で銀座へウィンドーショッピングへ行くとしましょう。
高級ブランド店でワンピースを選ぶ妻のワクワク感を80としたら、それを財布を持って見ている夫の楽しみは20。
最新のオーディオ機器を見て「欲しい!」と思っている夫のテンションが90だとしたら、後ろで退屈そうにスマホを見ている妻のテンションは10。
恋愛が始まりたてのカップルなら、一瞬は100:100の満足度もあり得るのかもしれません。でも長く続く夫婦関係はそうではなく、人生の楽しみを持ちつ持たれつで味わっている関係性だと思うのです。
ちなみにこの考え方は、私たちがひとりの時間にホッとしたり、充実感を感じたりすることへのゆるしでもあります。
なぜなら、パートナーとの関係は依存関係ではないからです。ひとりの時間も楽しめる自立した自分だからこそ、ふたりの時間も楽しめるのです。
この互いに自立した者同士の健全な折り合いの付け方をみんなが知っていたら、悲しい離婚の抑止力にもなるかもしれません。