「自分と他人を比べて苦しくなる」「常に勝ち負けを気にしてしまう」……そういった悩みの原因の大半は、自分の外側ではなく、自分の内側にあります。心の中で迷子になっている本当の気持ち(=未処理の感情)が引き起こしているのです。等身大の自分を受け入れて、ラクに生きたいと思いませんか? 本連載では、アルファポリスより好評発売中の『そろそろ『わたし』でいきていく ~今日から自分を好きになるために~』(城ノ石ゆかり)から一部を抜粋し、そのヒントをお届けしていきます。
あなたが親しくしている誰かが、あなたがゆるせないと思う何かしらのルーズな行為をしているとしましょう。
たとえば待ち合わせにいつも遅刻してくるとか、お金や異性にだらしない、子育てをベビーシッターに任せて旅行している……どんなことでもいいです。
その人を見たとき、あなたの胸に湧いてくるゆるせない気持ちは具体的にどんなものでしょう? 次の例のように考えてみてください。
・いつも遅刻してくるなんて、私の時間を不当に奪われている気がしてムカつく
・私は自分で代金を払っているのに、あの子は男性に払わせていてだらしない!
・子どもをベビーシッターに任せて旅行なんて、母親として失格だ!
ではここからが本題です。
あなたがゆるせないルーズなことをしている人は、あなたがどんなことで「自分」の価値を感じているかを教えてくれています。
たとえばいつも遅刻してくる友人にイラつくのは、時間を守ってもらえることが自分を大切に扱ってもらえることとイコールになっているからです。
男性にお金を払わせる女性をだらしないと感じるのは、自分で支払うのが正しい、女性だからといって男性に甘えてはいけないという価値観があるからでしょう。
子どもを預けて旅行する母親を非難したくなるのは、四六時中子どもに寄り添っている母親こそ理想的という価値観に基づいているのかもしれません。
つまり、自分が大事にしていることを傷つけられたような気がするからゆるせないのです。
でもこの構造がわかると、「本当にそうなのか?」という自分への問いが自然と生まれます。自分の価値観、在り方を選び直すきっかけが生まれるのです。
時間には正しくても、人を裏切るウソつきな人だっています。
男性の中には女性にお金を払いたがる人だっているし、それを喜んで受け取ることもひとつの気遣いでしょう。
子どもを預けて気分転換できるからこそ、日々の子育てを前向きに楽しめるお母さんだっているはずです。
そんな移ろいやすい表面的なことを自分の価値とすり替えていたら、どんどん自分がブレてしまいます。
つまり、あなたの本当の価値観をそんなところに置く必要はないのです。だからルーズな人を見るたびに心配したり、わざわざイヤな気持ちになったりする必要もありません。