電話対応は、新人なら最初にやらなくてはならない仕事ですが、やりたがらない若手が必ずいます。教育担当者やリーダーに聞くと、最初に目につくのがこの電話対応の差だとよく言われます。
できている人もいるので、リーダーとしては、ついつい比較してしまいます。
「Aさんは、積極的に電話に出ているな。でもBさんは、全然出ていないから、出るように注意しなくては」と考えるようになるのです。
「なぜ電話に出ないの?」とリーダーが聞いても、「出ようとするんですけど……」と、その後が続きません。Bさんにとっては理由があるのです。しかしその理由をなかなか言えません。なぜならその理由が「自信がない」ということだからです。
簡単にできる仕事ほど、自信がないとは言いづらくなります。ではなぜ自信がないのでしょうか? それは、「経験値が少ない」からです。
最初の難関は、「固定電話の扱い」です。なぜなら多くの若手は、家庭ではほとんど固定電話に触れてきていません。そのため固定電話に触れるのは、会社がはじめてと言っても過言ではないのです。一つひとつのボタンの使い方から教えないといけません。
また、自宅に固定電話があったという若手であっても、「知らない人からの電話には出ないように」と言われて育っています。できないのは、経験がないためにどうしていいか分からないからです。
自分が電話に出て解決するならいいのですが、多くの場合、誰かに繋いだり、部門を越えて転送しなければなりません。
「そんな、大袈裟な。簡単なことだろうに」
と思われるかもしれませんが、若手にとってはそれが大変なことなのです。社内のどの部署に誰がいるかを把握できていません。そんな段階で電話を転送するのは、とても緊張することなのです。
会社の各部門の業務内容もまだ詳しく知らないので、お客様からあれこれと質問されても上手く答えられません。「答えられない」という経験が少しでも続くと、自信がどんどん失われていきます。その結果、「自分がかかわらないほうが会社のためになる」と考えてしまいます。
なので、自分は電話には出ず、他人が出るのを待ったほうがいいと考えてしまうようになるのです。何ごとも経験を積まなければ自信など生まれようがありません。それでも、他人の迷惑になるのは何としても避けたいという気持ちが勝ってしまうから、電話に出られないのです。
勇気をふるって電話に出たとしても、応対が上手くいかなければ、叱られたり、欠点を指摘されてしまいます。そうなるのもいやなので、なおさら電話が嫌いになってしまいます。その結果、経験を積むことができず、いつまでたっても電話応対に自信を持つことができないのです。