ある大手メーカーの若手研修でのことです。若手社員がこう言いました。
「お客様のご要望であっても、失敗しそうならその場で『難しい』と言うことが多いです」
私が、「その場で上司や会社に確認するとか、持ち帰って再度ご連絡するとかはしないの?」と尋ねると、「それはあまりしないです」という答えが返ってきました。
・その場で「できます」と言ってできなかった場合、お客様にご迷惑をかけることになる。
・上司に相談を持ちかけると、上司に迷惑がかかる。
というのがその理由です。
お客様にご迷惑をかけるのはまずい、という理由は確かにそうです。
しかし、上司に迷惑がかかるという理由は、違います。明らかな事例などがあり無理であれば、上司との相談はなくてもいいかもしれませんが、そうでない場合は、即答せずに確認が必要です。それは、売上げに影響するからです。
そのような営業でも会社の売上げがあがるのならいいですが、対応が不可能であるならば、他社に注文がいくのは目に見えています。よくよく調べてみたら本当は自社でも対応可能だった、ということになれば、大きな機会損失です。
私がそのことを伝えると、「そうですよね~」というバツの悪そうな返答が返ってきます。分かってはいても、それをやらない理由があるのです。
つまり、「上司に相談する」という「あと一歩のチャレンジ」ができない理由は、「失敗が怖い」からなのです。
まず若手には、失敗しそうなので「やりたくない」というスイッチが入っています。上司に相談しない第一の理由がこれです。
もちろん、上司に迷惑をかけたくないという気持ちもここに含まれます。
そして2つめは、上司に相談して「できる」と言われても、逆に難易度があがって「失敗する」可能性があるからです。
この2つの理由が、上司に相談しない理由となります。
しかし、理由が分かれば解決の糸口は見つけられます。それは、失敗は「怖いものではない」と理解させることです。
・失敗も成長の糧になること。
・失敗よりもチャレンジすることが評価の対象になること。
・失敗しても責任やフォローは必ず上司自身が行うから、安心できること。
このようなメリットや安心材料があることを伝えれば、若手の不安や怖さが軽減されます。まずは「失敗を恐れない」職場環境をつくることが大切です。失敗が「怖いもの」ではないと実感させることが、若手の行動力をあげる要素になります。
失敗しても「会社に居場所がある」。この点を理解させることにより、若手が前向きに仕事に取り組めるようになるのです。
次回に続く