今どきの若手の育て方

「それは無理ですね」と客先に勝手に答える、今どき若手社員の頭の中

2019.05.09 公式 今どきの若手の育て方 第1回
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「難しい」「できません」とすぐに答えてしまう

ある大手メーカーの若手研修でのことです。若手社員がこう言いました。
「お客様のご要望であっても、失敗しそうならその場で『難しい』と言うことが多いです」

私が、「その場で上司や会社に確認するとか、持ち帰って再度ご連絡するとかはしないの?」と尋ねると、「それはあまりしないです」という答えが返ってきました。

・その場で「できます」と言ってできなかった場合、お客様にご迷惑をかけることになる。
・上司に相談を持ちかけると、上司に迷惑がかかる。

というのがその理由です。
お客様にご迷惑をかけるのはまずい、という理由は確かにそうです。
しかし、上司に迷惑がかかるという理由は、違います。明らかな事例などがあり無理であれば、上司との相談はなくてもいいかもしれませんが、そうでない場合は、即答せずに確認が必要です。それは、売上げに影響するからです。

そのような営業でも会社の売上げがあがるのならいいですが、対応が不可能であるならば、他社に注文がいくのは目に見えています。よくよく調べてみたら本当は自社でも対応可能だった、ということになれば、大きな機会損失です。

私がそのことを伝えると、「そうですよね~」というバツの悪そうな返答が返ってきます。分かってはいても、それをやらない理由があるのです。

つまり、「上司に相談する」という「あと一歩のチャレンジ」ができない理由は、「失敗が怖い」からなのです。

まず若手には、失敗しそうなので「やりたくない」というスイッチが入っています。上司に相談しない第一の理由がこれです。
もちろん、上司に迷惑をかけたくないという気持ちもここに含まれます。

そして2つめは、上司に相談して「できる」と言われても、逆に難易度があがって「失敗する」可能性があるからです。

この2つの理由が、上司に相談しない理由となります。

しかし、理由が分かれば解決の糸口は見つけられます。それは、失敗は「怖いものではない」と理解させることです。

・失敗も成長の糧になること。
・失敗よりもチャレンジすることが評価の対象になること。
・失敗しても責任やフォローは必ず上司自身が行うから、安心できること。

このようなメリットや安心材料があることを伝えれば、若手の不安や怖さが軽減されます。まずは「失敗を恐れない」職場環境をつくることが大切です。失敗が「怖いもの」ではないと実感させることが、若手の行動力をあげる要素になります。

失敗しても「会社に居場所がある」。この点を理解させることにより、若手が前向きに仕事に取り組めるようになるのです。

次回に続く


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プロフィール

石田祐一郎
石田祐一郎

株式会社GO FRONTIER代表取締役。大学卒業後、婦人服アパレル企業に就職。いちスタッフから数店舗の店長を経て、マネージャーとして全国を回る。その後、課長に抜擢。ブランド存続の危機の中で、社員一丸となって業績を挽回。さらに商品部長を経て取締役営業部長となり、全社の古い企業体質を改善。退職後はコーチング、アドラー心理学、メンタルケアを学び、プロコーチとして独立。現在は年間150回以上登壇し、成果が出るマネジメントとコミュニケーションのコツを全国で伝えている。

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