「お金がないから起業ができないんです」
と、起業を目指している方から言われたことがあります。
そこで、
「いくら必要なのですか?」
と、その方に聞いてみると、
「逆に、起業っていくらかかるんですか?」
という返事が返ってきました。
この方は、漠然と「起業にはお金がかかるに違いない」と思っていただけでした。
いくらお金がかかるか分からないまま、大変なイメージだけで止まってしまっているわけです。
実は、こうやって「お金」というオバケを恐れて、せっかくのチャンスをふいにしている人は少なくありません。
「起業」もそうですが、「世界一周」なども、ものすごくお金がかかるイメージがないでしょうか?
私もそう思っていました。
しかし、知り合いの大学生が休みの間に2週間ほどで飛行機に乗って世界一周旅行に行っているのをSNSを通じて知り、ビックリしたことを覚えています。
彼らが帰国してから聞いてみたところ、それほど法外な値段をかけているわけではないことが分かりました。学生がバイト代を貯めて行ける金額です。
思ったよりお金をかけずにぐるりと世界一周をすることができるということを知って、「やっぱり調べてみるもんだな」と思いました。
世の中の多くは、想像よりもお金がかからないことがほとんどです。
ちゃんと調べてみるとそれが分かります。
ですが、「高いに違いない」と思い込んでいると、具体的には調べようとはしないものです。
「お金がないから商品がつくれない」
「お金がないからビジネスの勉強ができない」
「お金がないから店舗が開けない」
「お金がないから広告が打てない」
「お金がないから何もできない」
と、お金がかかるというイメージだけで行動がストップしてしまい、具体的なアクションが始まりません。
これはどうしてかというと、ちょっと耳が痛い話かもしれませんが、お金のせいにしておけばチャレンジしなくて済むからという理由も大きいのです。
「100万円あれば、これができるのに」
という言葉には、多くの人が納得するかもしれません。
しかし、私が、
「自分がもっとイケメンだったら、楽に集客ができるのに」
「スーパーマンみたいに飛べたら、いろんなビジネスができるのに」
などと言っていたらどうでしょうか?
「何を非現実的なことを言ってるんだ?」
「そんなことを言ってないで、今の自分でできることをやれ」
と思うのではないでしょうか。
実は、「100万円あれば」というのも同じです。
今、100万円がないのであれば、ないなりにやれることを始めればいいわけです。
今できることから始めて少しずつ資金を集めていき、それで100万円が貯まれば次に進めます。
どんな計画も、スタート地点を間違っていればゴールに到達することはできません。
すべての計画のスタート地点は、今現在の自分です。
手持ちの資金が3万円なら、3万円がスタート地点です。100万円ではありません。
「○○さえあれば」
というのは、スタート地点が間違っているので、スタートすらできないわけです。
これは、一種の現実逃避だと思って下さい。
今の自分を受け入れずに済むので、そう言っているほうが楽なのです。
そこまで本気ではない、ということです。
もし本気であれば、やりたいことにどれぐらいの費用がかかるのか、すぐに調べるのではないでしょうか。
「いくらかかるんだろう?」
「なるべく安くできる方法はないか?」
と、知りたくてしかたがなくて、その場で検索したり、人に聞いたりしてみるのではないでしょうか。
多くの場合、ここで「思ったよりお金がかからない!」となります。
それでも十分なお金がないとしたら、お金がかからない方法を探すでしょうし、今すぐできることから始めているでしょう。
実際、お金がなくてもできることはたくさんあります。
例えば、東京から大阪に行くということを考えてみましょう。
東京から大阪に移動するとなると、普通は交通費がかかります。それに、途中でお腹がすいたり、のどが乾いたら、食べ物や飲み物を買うお金もかかります。
しかし、ヒッチハイクで東京から大阪まで行ってきた人を、私は何人も知っています。
これなら交通費はかかりません。お金をかけずに移動することができるわけです。
私も、そんなに長い距離ではありませんが、ヒッチハイクを3回したことがあります。
旅行中に観光地から最寄りの駅まで乗せて行ってもらったりしました。
バスも電車もなくて、車に乗せてもらわないと何時間も待ちぼうけになってしまうので、必死で乗せてくれる車を探しました。
また、学生時代に南米旅行に行ったとき、「現地ツアーに参加するのはいいけれど、ホテル代がもったいない」と現地の旅行代理店の人に言ったら「分かった。俺の家に泊まれ」ということで、一泊させてもらったこともあります。こんな体験はなかなかできないと思って、あえて泊めてもらいました。夕食や朝食もいただきました。
「お金を使わなくても何とかなる」ということを、そのときに思いました。
つまり、お金がなくても、他人を動かすことができればいいだけなのです。
お金は他人を動かす1つのツールにしか過ぎません。
相手との価値の交換のツールであり、相手を動かすツールです。
本気だったら、お金がなくてもなんとかするものです。