「すべてマスターしてから始めよう」
と勉強ばかりしてしまう人は要注意です。
その傾向は起業家には危険です。
「すべてマスター症候群」とでも名付けてもいいかもしれません。
学ばずに無謀なチャレンジをするのもよくありませんが、勉強ばかりで行動がストップしていてはビジネスでの成果は出ません。
そんなことは頭では分かっていても、
「ここにある本を全部読み終わったら」
「あのセミナーが終わったら取り組もう」
「この勉強が終わったら行動しよう」
と、なぜか学び続けたくなる時は、いくつかの思い込みがありますので、ぜひ、この項目は最後までお読みください。
実際、学ぶためにセミナーを受講し終わっても、すぐに次のセミナーに行く人は少なくありません。
例えば、延々と数十万円の施術のコースに通い続けている整体師の方々は、本当にたくさんいらっしゃいます。
本当はその時間で、お店の集客の取り組みや、単価アップのための施策を打てばよいのですが、「まだ、ちゃんと技術をマスターしていないから」と後回しにしてしまいます。
せっかく最新のマーケティングセミナーに出たのに、結局は時間がなくて、今までと変わらないやり方を続けている人もいます。
極端な場合には、飲食店を始める前から大規模なチェーン展開の方法を学びに行って、ビジネスは何も始めていないという方もいらっしゃいました。
これでは、いつまで経っても新しい人生を始めることができません。
いろんなやり方があっていろんな本があって、それを全てマスターしようと思うと、1年も2年もかかってしまいます。
「ここまで勉強したら始めよう」を毎年繰り返していると、あっという間に月日が流れていってしまいます。
それに学んだやり方もどんどん古くなって、使い物にならなくなってしまいます。
行動しなければ何の成果も出ません。学んでばかりいては何も起きないのです。
もちろん、何も学ばずに挑戦するのは無謀です。しかし、「完璧に学ばなければ行動しない」というのは、また話が別です。
成果を出す人は、みんな行動しています。
学んでいないわけではありません。
学びながら行動し、行動しながら学ぶわけです。
「学ぶ」とひと言でいっても、世の中には種類の異なる学びがあります。
「知識系」の学びと「スキル系」の学びです。
「知識系」とは、知っていることに価値がある種類のものです。
たとえば、学校の勉強や資格試験はこれに当たります。知っていればいい点が取れて、資格が取得できます。
また、仕事の中でも定型業務などは、知識系のものもあります。一度業務のやり方を学んでしまえば、それだけで仕事をすることができます。
一方で「スキル系」の場合は、知っているだけではなく、その場で臨機応変に対応できなくてはなりません。
最も分かりやすいのはスポーツです。
球技などはボールのスピード、角度、方向が毎回違うわけですが、それらに瞬時に対応しなければなりません。
さまざまな状況に即座に対応できる人が「スキルが高い」というわけです。
そうなるためには、実際に体を動かして、何度も何度も練習をしなければなりません。
テキストをすべて読み込んだからといって、スポーツが上手くなるわけでは決してないからです。
ビジネスも同様に、テキストに載っているケーススタディがそのまま現実に現れるわけではありません。
あなたの目の前には、あなただけが対処すべき状況が現れます。その時その時で、対応は変わってきますし、どれが正解なのか、最初から答えは分かりません。
もちろん原理原則はありますので、それは学んでおいた方がよいでしょう。しかし、状況は無限に存在しますので、すべてのケースを事前に知ろうと勉強を続けていると、学びは無限に終わらないのです。
完璧に勉強しようとする人は、ここを勘違いしている場合がほとんどです。
いくらビジネス書を読んでも、これからあなたの前に起こる状況は、まったく新しい唯一無二のケースです。テキストに書いてあった答えを探す、ということはできません。
その状況のその問題に対する答えを、あなた自身が生み出す必要があります。
ニーズに合わせて新しい商品を開発する。
新しいメディアを使って集客をする。
1人ひとりの反応に合わせてセールストークを変える。
お客さまからの要望に対応する。
さまざまな突発事項に対応する。
などなど。
その状況に臨機応変に対応するために、あなたの起業家としての「スキル」が必要なのです。