そのようなことが頭で分かっていたとしても、なぜか一歩踏み出せないという方も少なくありません。
それは珍しいことではありませんので、心配は要りません。
多くの人が、同じようなところでつまずいているのです。
「全てマスターしなければ始めてはならない」ような気がしてしまうのは、一体なぜなのか?
いくつかのパターンがありますので、あなたもどれかに当てはまるのではないでしょうか。
1つは、「未熟な自分にはまだ早い」と考えてしまうパターンです。
ベテランの人や業界の先輩たちはもっと知識もあってすごいのに、今の自分が同じようなことをするなんておこがましいと考えるわけです。
もっと完璧にならないと同じ土俵に立ってはいけないという完璧主義でもあります。
2つ目は「失敗したくない」という意識が強すぎる場合です。
ビジネスを始めると、小さな失敗はつきものです。失敗から逃げることはできません。
しかし、勉強し続けていれば、始める必要がありませんので、失敗せずに済みます。
勉強という安全地帯に逃げてしまっているわけです。
3つ目は「確実な方法を知りたい」という気持ちです。
これは2つ目とも似ていますが、少し違うのは「確実な方法がある」という勘違いをしてしまっているところです。その方法さえ知れば成功すると思い込んでいますので、青い鳥を探すようにひたすら確実な方法を探し続けてしまうのです。
もちろん、そんなものはありませんので、いつまで経っても勉強が終わらないわけです。
4つ目は「魔法のように画期的な方法があるに違いない」という幻想です。
「成功している人は、自分が知らない画期的な方法を知っているのだ」と思ってしまうとこうなります。
こういう気持ちの時は、新しいキーワードに飛びついてしまいます。「中身は分からないけどすごいに違いない」と、流行の本を買ってブームのセミナーに行きます。
ビジネスのフェーズがまったく違うような高度なことにも、わけも分からずに手を出してしまうこともあります。
でも、名前を変えただけで本質はどれも変わりません。結局は自分が行動することが一番大切なのです。
このような思い込みによって、勉強をひたすら続けてしまう人が少なくありません。
こんなことを書きながら、私自身も同じような経験がありました。
ビジネスではありませんが、娘たちが中高生の頃のことです。
妻が、
「あなたもお弁当を作ってくれと助かる」
と言いました。
今まで料理をほとんどしてこなかったので、作れるのは目玉焼きやフレンチトーストぐらいです。
ちょっと気が重く感じたのですが、家族のためだからと覚悟しました。
そして、
「じゃぁ、料理教室にでも行こうか……」
と私は答えました。
すると妻は笑って言いました。
「自分のことになると難しく考えるんだね。クライアントさんには、いつも完璧主義にならないように言ってるのに」
「えっ?」
「料理教室なんて行かなくていいでしょ。玉子焼きとか定番のお弁当が1種類作れれば、それでいいんだから」
確かにそうです。
たまに作るのですから、同じ具材でも問題ありません。
私は料理というものを重く受け止めてしまっていました。できることからやればいいだけなのに。
これはとてもいい経験でした。
「起業」を難しく考えてしまう人の心境が、とてもよく分かった瞬間だったからです。
あなたが勉強ばかりしてしまう時は、私と同じような重圧を感じているのかもしれません。
でも、それは勘違いです。
そんなに重く受け止める必要はありません。
ビジネスといっても、最初から大きく完璧に始める必要はないからです。
ベテランの人も、昔は試行錯誤しながらヨチヨチ歩きをしていたはずです。
あなたは、あなたができることからビジネスを始めればいいわけです。
新しいことを取り入れようとするなら、今、できる範囲でスタートすればいいわけです。
そして、やりながら少しずつ工夫して進化させていけばいいのです。
実際、ビジネスというのは、やりながらしか学ぶことはできません。
とりあえず商品を作ってみて、売ってみて、お客さまの反応を見て、そこからしか学べません。
「正解」は最初から分かりませんし、やってみないと「感覚」として身につかないからです。
最初は売上などの結果としては返ってきませんが、さまざまな反応が返ってきますし、感覚的に分かってくることは多いです。
そこでの投資は無駄に見えるかもしれませんが、実際はものすごい学びになっています。
そうやって小さくテストしながら専門家にアドバイスを求めれば、かなり高い相乗効果が得られます。
具体的な質問であれば専門家は答えやすいですし、現実的なアドバイスができるからです。
セミナーに行ったりコンサルタントをつける時は、このような使い方が一番です。
人生に失敗はありません。
それはすべて学びです。
「現場での学び」に勝るものはありません。
どんどん挑戦し、学びを積み重ね、あなただけのケーススタディを蓄積して行ってください。
それは、あなたのオリジナルの「成功のテキスト」になることでしょう。
次回に続く