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生まれつき花や植物の“声”が聞こえる特殊能力を持つ、京都に住む女子高生の楓。花が好きなので子供の頃は嬉しかったが、物心ついた頃、自分が皆と違う事に気づき、家族や友達にも秘密にしていた。
また、そんな気質からのマイペースな生活スタイルから、周囲に上手く馴染めず、強い孤独感を抱えていた。数年前、春夏の降水量が増えてから、春の花……特に桜の“声”が痛ましく悲しいという事態を誰にも言えず、更に辛い年月を過ごしている。
放課後は地元の社(やしろ)を可能な限り訪れ、その土地の水神を祀る祠(ほこら)に、雨を降らす日を減らして欲しいと祈っていた。そんなどしゃ降りの春の夜、その祠に宿る水神だと名乗る青年らしき“声”が、楓に声をかけた。
彼は姿は現さず「叶わぬ願いは止めろ」と忠告する。驚き、戸惑う楓だったが、目に見えない者の“声”に慣れていた彼女は、その水神に『サクヤ(咲夜)』という呼び名を付け、声だけの“彼”と会話するようになるが……
※主人公と友人は関西弁(京都弁)を話します。
※以前別サイトに投稿した作品にエピソードを増やし加筆改稿したものです。
※フィクションです。実在する名称、土地、出来事とは関係ありません。
※表紙画にてんぱる様のフリー素材作品をお借りしてます。
文字数 20,339
最終更新日 2023.12.25
登録日 2023.05.18
遠い昔。とある地方で、毎年、桜が散る頃になると発生する、謎の疫病が蔓延していた。悪くすると死に至る災厄で、村人が大勢亡くなった。
村外れの桜の大木に宿るという、万能の守り神。彼に厄を祓ってもらう引き換えに、心身共に清き若い娘を花嫁に差し出すという儀式の大役を、生まれながらに背負った巫女の家柄の少女。
十五の春。いよいよ迎えた “その” 日に、幼い頃から慕い、信じてきた桜の守神への想いを語る。
「本当は、わかっておりました。だけど、信じたかった。最後の最期まで、信じていたかったのです」
※史実(人身御供)資料を元にしたフィクションです
※PG12程の残酷表現あり。一人称
※表紙は許諾を頂いたAI作成画です
文字数 4,006
最終更新日 2023.05.21
登録日 2023.05.20
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