視廻り旅小説一覧
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俺の名はシエン…新米の道騎士で19才と半年だ…孤児だった俺を3つの時に拾って引き取り、内弟子とした法騎士のカインお師さんは、俺にシエンと名を付けた。
以来16年、修行を重ねた俺はようやく#道騎士__どうきし__#としての独り立ちを許された。
…って言ゃあ聴こえは好いが、魔物に襲われてた女の娘を助けるたんびに、その娘らと懇ろになっちまって、とうとう3人の娘を孕ませちまった俺は、それがバレるとカインお師さんに本気でど突かれた。
あれは修行でも鍛錬でもネェ…ヤベェレベルの仕置きだな。
村の連中は俺を破門して放逐しなけりゃ、あんたにも出てって貰うとカインお師さんに言ったんだが、俺の腕を惜しがったお師さんは、ちっと早いが俺を道騎士として独り立ちさせて、視回り旅に出させるから…生まれた子供は3人とも自分が引き取って育てるからって事で、何とか村の連中を宥めて収めた。
俺の旅支度も道騎士としての装いもお師さんが用意してくれた。
馬(パルド)は高いから買って貰えなかった…まあ良いけどな…脚には自信がある。
昔、お師さんが道騎士だった時に使ってたって言う退魔の道剣を下賜された時ゃあ、いよいよだなって思った。
明朝にゃあ出立するって前の晩は、たまにしか食えなかったご馳走の鍋からよそって貰って食わせて貰いながら、取り敢えず3年で帰って来いってお師さんには言われた。
もしも深手を負って動けなくなったら、自分で何とか養生しながら手紙を寄越せば迎えに行ってやる、とも言ってくれた。
そん時俺ぁ、結構泣いたよ…本当の親父みたいに思えた。
そんで視回りの旅に出て、もう三月は経ったかな……
文字数 21,224
最終更新日 2024.11.30
登録日 2021.08.04
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