高校二年生の水野綾斗は、昔から場の空気を読み過ぎる性格だった。
人の顔色を伺って生きることに疲れてしまった矢先、屋上の鍵が開いていることに気付く。
興味本位で忍び込み、中庭を見下ろした時、背後から叫び声が聞こえた。
「死んじゃ駄目です!」
そこにいたのは、クラスメイトの白鳥羽菜。
綾斗が飛び降りようとしていると思い込んだ羽菜は、涙ながらに引き留めた。
涙が収まった頃、羽菜は両手を広げながら一言。
「ハグ、しますか?」
文字数 13,858
最終更新日 2024.07.06
登録日 2024.06.12