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最終章・ノワール、貴女は幸せになれましたか?
第一話 身動き取れない国を出て、ある場所に行きます!
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「はぁ…アーレフの馬鹿! 私達がいる状態で国民に公表するなんて…何を考えているのよ⁉」
「本当にお父様ったら、何を考えているのよ‼」
「お前達…っていうか、ノワール! 仮にも国王陛下に向かって馬鹿呼ばわりするなんて…」
私達は、バルデェシアン王国内でショッピングを楽しんでいた。
だが、国内放送で私の顔画像と共に勇者紹介をされた。
当然、娘であるファティマとテスタレディシア王国のヴァルキリーと呼ばれたアルマの紹介もしたのである。
それを見ていた国民が一斉に押し寄せてきて、ゆっくり見る暇が無かったのである。
「姫様…と勇者様、宿の中迄は一般の方は入れませんので御安心を…ただ、中に入れてくれという者達がいますが…?」
「絶対に入れない下さい! これじゃあ、買い物なんか無理ね。」
「そうだな…こんな状態では、宿の外に出た瞬間に囲まれるぞ!」
「お姉様、どうしましょう?」
「服の替えとかは…布とかあれば作れるので良いのだけど、食材が足りないわね? 肉類は魔物から獲れるから良いのだけど、野菜類がね…あと、穀物とか?」
この水の都では、外の農園で野菜などは手に入る。
ただ、この国で作られている野菜は…鮮度は良いんだけど長持ちがしないので不安が残る。
収納魔法に入れると、時間が止まっている為に鮮度は持つのだが…1つだけ問題がある。
それは冷凍保存に近い状態なので、この国の野菜は冷凍すると旨味が失うのである為に迂闊に収納魔法を利用できないのだ。
「収納魔法では無く、ストレージ管理なら良かったんだけどね。」
「ストレージ…魔女時代のお姉様が使っていた収納魔法ですよね?」
「そうそう、今の私にはストレージではない収納魔法だから勝手が違うのよ。」
「この国の野菜は輸出には向きませんからね。 長期保存も難しいですし…鮮度の保ったままの野菜、どこかにないですか?」
「あるにはあるよ! ただ、1度ジコククーニ王国領内に戻らないといけないけど…」
「ジコククーニ王国に品質の良い野菜何て聞いた事ないぞ?」
「ジコククーニ王国で、テスタレディシア王国とは反対に位置する国では野菜や果物の品質が良いの。」
「テスタレディシア王国とは反対の? ベジツ・ターブル農国か?」
「そそ! そこに行けば、長期保存に適した野菜が手に入るのよ!」
とはいえ…?
ベジツ・ターブル農国に行った事はあるけど、それは転生の記憶が甦る前の出来事である。
なので、魔法のマーキングはしていない。
「リスクを回避するには、ジコククーニ王国に行くと色々問題がありそうだし…仕方ない、協力者にお願いするとしましょう!」
「協力者? それは一体⁉」
「この時代のノワールに転生した時の幼馴染だった子の元にね。 その子の屋敷にもマーキングしてあるからすぐに行けるのよ!」
「まーきんぐというのは良く解らんが…どうやって行くんだ? 夜中にでも出発するのか?」
「とりあえず、すぐに出発の準備をして!」
私達3人は、部屋の中にある荷物やら買い物した荷物やらをまとめた。
それらを収納魔法に入れてからロビーで受付をした。
「ごめんなさいね、本当はもっとゆっくりしたかったんだけど…」
「仕方ありませんね。 勇者様一行が泊まって戴いた…当宿ではそれだけで誉になりますよ。」
「では、出発しますので…また来た時はゆっくりさせて下さいね!」
「かしこまりました、その時には精一杯御持て成しさせて戴きます。 姫様もお元気で!」
「はい! 行ってきます!」
「で? どうやってバレずにこの国から出るんだ?」
「転移魔法を使います! 転移・バレンシアーナ伯爵邸へ!」
「バレンシアーナ?」
アルマが何かを言い掛けた瞬間に転移をした。
すると、ニーナの薬草園に着いたのだった。
「この魔法…魔女時代に良く使っていたけど、ここまで魔力を消費するのね。」
「お姉様…伝説の転移魔法が使え…ても不思議ではありませんね。 魔女ノワールの時に何度も使用していたから。」
「それで…アルマは大丈夫?」
転移魔法は、魔力が低い者には負担が大きい魔法である。
なので、体力馬鹿でメスゴリラのアルマでも体に負担が大きいのだろう。
「おい、ノワール…今何かムカっとしたのだが、悪口でも考えてなかったか?」
「気の所為でしょ! やはり魔力が低いアルマには負担がかかるのね…って考えていただけよ。」
「ノワール? 何で貴女がここに…って、アルマも⁉」
「やぁ、久しぶりだなニーナ! ノワールの言っていた幼馴染がニーナだとは思わなかった。」
「2人とも知り合いだったの⁉」
ニーナとアルマは、私を見て溜息を吐いた。
私は変な事言ったかな?
「なぁ、ノワール…私の家名、覚えているか?」
「バレンシアーナでしょ? アルマ・バレンシアー…あ!」
「私とニーナは従姉妹なんだよ。 ニーナのお父様は、私のお父様の兄上だ。」
「ノワールもアルマが幼い時に何度か家に来ている時に会っているのよ。 覚えてない?」
私がアルマに子供の頃に会っていた…?
あ、そういえば…親戚の子が来ていると言われて紹介された事があったっけ?
あの時の子は確か…ドレスを着た背の高い子が…って、アレがアルマだったの⁉
私は大爆笑をした。
「何故笑う⁉」
「今よりも髪が長くてドレスを着ていたんだもん。 ギャップがあり過ぎw」
「仕方ないじゃないか! あの頃はまだ騎士団に入団していなかったんだ、貴族令嬢に相応しい格好をしないと…」
「うんうん、アルマも立派なお嬢様だったのね。 てっきり生まれた時からメスゴリラだと思っていたから、ドレスを着たアルマを想像したら笑っちゃったわ!」
「お前は失礼な奴だな!」
怒るアルマに、私は両手を合わせて謝っていた。
するとニーナが話を振って来た。
「ところでノワール! こちらの綺麗なエルフの方はどなたなの?」
「あ、その子はね…バルデェシアン王国の王女ファティマよ!」
「初めましてニーナ様、バルデェシアン王国・アレーフとフラーマの子、ファティマと申します!」
「これは…ファティマ王女様、お会いできて光栄です!」
「堅苦しい挨拶は不要です、ニーナ様…」
「何固まっているのよニーナ?」
「あのねぇ…普通王女様を目にしたら、こうなるのが必然よ!」
「そうなの?」
私はファティマの事は、小さい時から知っていたから別に何とも思わなかった。
考えてみればファティマってお姫様だもんね、普通だとこれが当たり前なのかな?
「ノワールは色々と常識が欠けているからな!」
「そうね…記憶が甦る前までは、礼儀作法は完璧だったのに…あの頃のノワールは何処に行ってしまったのかしら?」
「なんか失礼なこと言ってない? アルマは別に緊張してないじゃない! 私だけそういう風な言われ方をされるのは心外だわ!」
「私は最初はちゃんとしていたぞ! それよりもノワールだろう…以前からの知り合いとはいえ、国王や王妃の名を呼び捨てにするんだから、見ていてヒヤヒヤしたんだぞ!」
「アルマも知っていたのね。 やっぱり転生の話は本当だったのね?」
「ニーナ、信じてなかったの?」
「魔法を使っていた時は、半分は信じていたわ! でもさすがに全部を信じろと言われてもにわかには…」
「それが普通の反応だよ。 私も最初は信じていなかったからなぁ!」
ニーナはメイドに命じて、テーブルと椅子と紅茶を用意してくれた。
そして4人で放す事になった。
「そういえばノワール、勇者になったのよね? おめでとう!」
「ちっともめでたくなんかないわよ! 5度の人生が悲惨だったのに、6度目も悲惨な人生だなんて…」
「あれ? 5度の人生?」
「そうよ、5度の人生…」
「魔女、騎士、聖女、メイドで4度じゃないのか?」
「あー…まぁ、話しても良いか! 私の最初の人生を幕を閉じた場所は、この世界ではない他の世界だったの。」
「他の世界?」
「解り易く言うとね…夜空を見上げると星々があるよね?」
「あぁ…」
「その星々には生命体…つまり私達みたいな人類が存在しているの。 私の故郷は…ここから見える星の何処かなのかは分からないけどね。」
夜空を見上げて、北極点や星座を探したけど…それらしい星は見当たらなかった。
恐らく私のいる星は、私のいた地球とは別の銀河系の星なのだろう。
「夜空の星の何処かか…その話が一番信じられないが?」
「じゃあ、解り易く説明してあげるね。 太陽に近い星ほど人の形がしっかりしていて、太陽から遠い星程人の形はしていないの。 重力の関係や太陽の光の恩恵によって人は成長する時に…あ、解ってないわね?」
「うん…何を話しているのかさっぱりわからん!」
「ニーナとファティマも解らない?」
「「うん」」
さて、困ったな…
この世界の知識レベルは、地球よりかなり文明が遅れている世界だから…学者でもない限り難しいかな?
魔女時代に天球儀という道具を作りだして学会で唱えたから、世界は丸いという理論は根付いたけど…
ニーナだと、この説明でわかるかな?
「ニーナ…日の光を強く浴びる植物程、成長が高いわよね? 反対に光の届かない植物程、成長が遅いでしょ?」
「うん、そうね。 つまり、太陽から近い星と遠い星はそれに影響している訳ね?」
「その他にもう1つ…この世界にある便利な魔道具だけど、これらも私がこの世界に転生する前にあった道具をこちらの世界で作りだして広めたの。」
「だからか‥学者たちが魔道具を解体しても仕組みを理解出来ないというのは…同じ様な物を作りだすまでに数十年はかかったもんな!」
「ノワールの元いた世界って、どんな世界だったの?」
「まず人口から話をすると、私の元いた世界の人口は…この世界の10倍以上かもね。 100億人位いたから…」
「100億人って…その星がパンクしないの?」
「私のいた世界は、地球と呼ばれる星以外に…火星という星と金星という星に移住して行った人がいるからね。 だから、そっちの星に移り住んだ人達を合わせて100億人という訳! 元いた星は…20億人位かな?」
それから3人に色々説明されて、答えて行った。
アルマはすぐにあきたらしいけど、ニーナとファティマは興味津々だった。
「ノワールのいた世界の文明に追い付くには、こっちだとあとどれ位掛かるかな?」
「魔法技術が一切なくなってから、更に1000年くらい経たないと追い付かないかな? 私のいた世界も800年くらい前は文明とは程遠い生活を送っていたからね。」
私のいた地球…西暦2733年だった。
その時代では、宇宙旅行は普通だったし…様々な星に調査隊を送って他の星の様子も解っていたから。
太陽から離れている星程、人類はいるけど人の形はしていなかった。
それ以外にも生存の為に激しく争っている星もあり、調査隊の人達も犠牲にあったという話だ。
…と、話が脱線しちゃった。
私は今後の話の事を話した。
「ニーナ…しばらく泊めて欲しいんだけど、良いかな?」
「あ、勇者発表をされた後だから動き難いのね? 勿論良いわよ!」
「他にも色々修業とかもしたいしね、魔王との戦いは避けられないみたいだから、少しでも戦力アップしないと…」
「何か必要な物はある? もしもないのなら揃えるけど…」
「あ、うん。 特には無いけど、3日くらい留守にするけど、その間…アルマとファティマをお願い出来る?」
「何処か行くのか? それなら私達も…」
「いえ、1人の方が色々動きやすいから…それに最後の仲間も尋ねたいしね!」
「まさか…そういってバックレる気じゃないだろうな?」
「バックレないわよ! 私の事…信用してないの?」
「してないな!」
「してないわね。」
「お姉様…信用出来ません」
私は悲しくなってきた。
ここまで仲間や幼馴染に信用されていない何て…
「ノワール…教えろ! 最後の仲間って男か?」
「女の子だよ? 何よ、男だと思っていたの?」
「いや…思ってはいなかったが、ノワールは男の事になると発情したメスみたいになるから心配でな…」
「発情したメスって…」
人を何だと思っているのよ!
人から言われると腹が立つわね…あ、そういえば、私もアクードの事を万年発情した犬とか言ったっけ?
私はアレと同じだと思われていたのね…不愉快だわ!
「ノワールにそんな知り合いが居たんだな? それで強いのか?」
「下手すると…能力的にはアルマより強いかも。 私でも勝てるかどうか…」
「それは楽しみだな!」
「という事で、行ってくるね!」
そういって私は箒を取り出して旅立った。
目的地まで馬車で1週間は掛かる距離だった。
箒でも早くても3日は掛かる。
私は少し飛ばすのだった。
「ニーナにお世話になるんだから、少しはお土産をあそこで買おうかな?」
さて、ノワールのいう新メンバーとは?
そもそも、ノワールは何処を目指しているのだろうか?
「本当にお父様ったら、何を考えているのよ‼」
「お前達…っていうか、ノワール! 仮にも国王陛下に向かって馬鹿呼ばわりするなんて…」
私達は、バルデェシアン王国内でショッピングを楽しんでいた。
だが、国内放送で私の顔画像と共に勇者紹介をされた。
当然、娘であるファティマとテスタレディシア王国のヴァルキリーと呼ばれたアルマの紹介もしたのである。
それを見ていた国民が一斉に押し寄せてきて、ゆっくり見る暇が無かったのである。
「姫様…と勇者様、宿の中迄は一般の方は入れませんので御安心を…ただ、中に入れてくれという者達がいますが…?」
「絶対に入れない下さい! これじゃあ、買い物なんか無理ね。」
「そうだな…こんな状態では、宿の外に出た瞬間に囲まれるぞ!」
「お姉様、どうしましょう?」
「服の替えとかは…布とかあれば作れるので良いのだけど、食材が足りないわね? 肉類は魔物から獲れるから良いのだけど、野菜類がね…あと、穀物とか?」
この水の都では、外の農園で野菜などは手に入る。
ただ、この国で作られている野菜は…鮮度は良いんだけど長持ちがしないので不安が残る。
収納魔法に入れると、時間が止まっている為に鮮度は持つのだが…1つだけ問題がある。
それは冷凍保存に近い状態なので、この国の野菜は冷凍すると旨味が失うのである為に迂闊に収納魔法を利用できないのだ。
「収納魔法では無く、ストレージ管理なら良かったんだけどね。」
「ストレージ…魔女時代のお姉様が使っていた収納魔法ですよね?」
「そうそう、今の私にはストレージではない収納魔法だから勝手が違うのよ。」
「この国の野菜は輸出には向きませんからね。 長期保存も難しいですし…鮮度の保ったままの野菜、どこかにないですか?」
「あるにはあるよ! ただ、1度ジコククーニ王国領内に戻らないといけないけど…」
「ジコククーニ王国に品質の良い野菜何て聞いた事ないぞ?」
「ジコククーニ王国で、テスタレディシア王国とは反対に位置する国では野菜や果物の品質が良いの。」
「テスタレディシア王国とは反対の? ベジツ・ターブル農国か?」
「そそ! そこに行けば、長期保存に適した野菜が手に入るのよ!」
とはいえ…?
ベジツ・ターブル農国に行った事はあるけど、それは転生の記憶が甦る前の出来事である。
なので、魔法のマーキングはしていない。
「リスクを回避するには、ジコククーニ王国に行くと色々問題がありそうだし…仕方ない、協力者にお願いするとしましょう!」
「協力者? それは一体⁉」
「この時代のノワールに転生した時の幼馴染だった子の元にね。 その子の屋敷にもマーキングしてあるからすぐに行けるのよ!」
「まーきんぐというのは良く解らんが…どうやって行くんだ? 夜中にでも出発するのか?」
「とりあえず、すぐに出発の準備をして!」
私達3人は、部屋の中にある荷物やら買い物した荷物やらをまとめた。
それらを収納魔法に入れてからロビーで受付をした。
「ごめんなさいね、本当はもっとゆっくりしたかったんだけど…」
「仕方ありませんね。 勇者様一行が泊まって戴いた…当宿ではそれだけで誉になりますよ。」
「では、出発しますので…また来た時はゆっくりさせて下さいね!」
「かしこまりました、その時には精一杯御持て成しさせて戴きます。 姫様もお元気で!」
「はい! 行ってきます!」
「で? どうやってバレずにこの国から出るんだ?」
「転移魔法を使います! 転移・バレンシアーナ伯爵邸へ!」
「バレンシアーナ?」
アルマが何かを言い掛けた瞬間に転移をした。
すると、ニーナの薬草園に着いたのだった。
「この魔法…魔女時代に良く使っていたけど、ここまで魔力を消費するのね。」
「お姉様…伝説の転移魔法が使え…ても不思議ではありませんね。 魔女ノワールの時に何度も使用していたから。」
「それで…アルマは大丈夫?」
転移魔法は、魔力が低い者には負担が大きい魔法である。
なので、体力馬鹿でメスゴリラのアルマでも体に負担が大きいのだろう。
「おい、ノワール…今何かムカっとしたのだが、悪口でも考えてなかったか?」
「気の所為でしょ! やはり魔力が低いアルマには負担がかかるのね…って考えていただけよ。」
「ノワール? 何で貴女がここに…って、アルマも⁉」
「やぁ、久しぶりだなニーナ! ノワールの言っていた幼馴染がニーナだとは思わなかった。」
「2人とも知り合いだったの⁉」
ニーナとアルマは、私を見て溜息を吐いた。
私は変な事言ったかな?
「なぁ、ノワール…私の家名、覚えているか?」
「バレンシアーナでしょ? アルマ・バレンシアー…あ!」
「私とニーナは従姉妹なんだよ。 ニーナのお父様は、私のお父様の兄上だ。」
「ノワールもアルマが幼い時に何度か家に来ている時に会っているのよ。 覚えてない?」
私がアルマに子供の頃に会っていた…?
あ、そういえば…親戚の子が来ていると言われて紹介された事があったっけ?
あの時の子は確か…ドレスを着た背の高い子が…って、アレがアルマだったの⁉
私は大爆笑をした。
「何故笑う⁉」
「今よりも髪が長くてドレスを着ていたんだもん。 ギャップがあり過ぎw」
「仕方ないじゃないか! あの頃はまだ騎士団に入団していなかったんだ、貴族令嬢に相応しい格好をしないと…」
「うんうん、アルマも立派なお嬢様だったのね。 てっきり生まれた時からメスゴリラだと思っていたから、ドレスを着たアルマを想像したら笑っちゃったわ!」
「お前は失礼な奴だな!」
怒るアルマに、私は両手を合わせて謝っていた。
するとニーナが話を振って来た。
「ところでノワール! こちらの綺麗なエルフの方はどなたなの?」
「あ、その子はね…バルデェシアン王国の王女ファティマよ!」
「初めましてニーナ様、バルデェシアン王国・アレーフとフラーマの子、ファティマと申します!」
「これは…ファティマ王女様、お会いできて光栄です!」
「堅苦しい挨拶は不要です、ニーナ様…」
「何固まっているのよニーナ?」
「あのねぇ…普通王女様を目にしたら、こうなるのが必然よ!」
「そうなの?」
私はファティマの事は、小さい時から知っていたから別に何とも思わなかった。
考えてみればファティマってお姫様だもんね、普通だとこれが当たり前なのかな?
「ノワールは色々と常識が欠けているからな!」
「そうね…記憶が甦る前までは、礼儀作法は完璧だったのに…あの頃のノワールは何処に行ってしまったのかしら?」
「なんか失礼なこと言ってない? アルマは別に緊張してないじゃない! 私だけそういう風な言われ方をされるのは心外だわ!」
「私は最初はちゃんとしていたぞ! それよりもノワールだろう…以前からの知り合いとはいえ、国王や王妃の名を呼び捨てにするんだから、見ていてヒヤヒヤしたんだぞ!」
「アルマも知っていたのね。 やっぱり転生の話は本当だったのね?」
「ニーナ、信じてなかったの?」
「魔法を使っていた時は、半分は信じていたわ! でもさすがに全部を信じろと言われてもにわかには…」
「それが普通の反応だよ。 私も最初は信じていなかったからなぁ!」
ニーナはメイドに命じて、テーブルと椅子と紅茶を用意してくれた。
そして4人で放す事になった。
「そういえばノワール、勇者になったのよね? おめでとう!」
「ちっともめでたくなんかないわよ! 5度の人生が悲惨だったのに、6度目も悲惨な人生だなんて…」
「あれ? 5度の人生?」
「そうよ、5度の人生…」
「魔女、騎士、聖女、メイドで4度じゃないのか?」
「あー…まぁ、話しても良いか! 私の最初の人生を幕を閉じた場所は、この世界ではない他の世界だったの。」
「他の世界?」
「解り易く言うとね…夜空を見上げると星々があるよね?」
「あぁ…」
「その星々には生命体…つまり私達みたいな人類が存在しているの。 私の故郷は…ここから見える星の何処かなのかは分からないけどね。」
夜空を見上げて、北極点や星座を探したけど…それらしい星は見当たらなかった。
恐らく私のいる星は、私のいた地球とは別の銀河系の星なのだろう。
「夜空の星の何処かか…その話が一番信じられないが?」
「じゃあ、解り易く説明してあげるね。 太陽に近い星ほど人の形がしっかりしていて、太陽から遠い星程人の形はしていないの。 重力の関係や太陽の光の恩恵によって人は成長する時に…あ、解ってないわね?」
「うん…何を話しているのかさっぱりわからん!」
「ニーナとファティマも解らない?」
「「うん」」
さて、困ったな…
この世界の知識レベルは、地球よりかなり文明が遅れている世界だから…学者でもない限り難しいかな?
魔女時代に天球儀という道具を作りだして学会で唱えたから、世界は丸いという理論は根付いたけど…
ニーナだと、この説明でわかるかな?
「ニーナ…日の光を強く浴びる植物程、成長が高いわよね? 反対に光の届かない植物程、成長が遅いでしょ?」
「うん、そうね。 つまり、太陽から近い星と遠い星はそれに影響している訳ね?」
「その他にもう1つ…この世界にある便利な魔道具だけど、これらも私がこの世界に転生する前にあった道具をこちらの世界で作りだして広めたの。」
「だからか‥学者たちが魔道具を解体しても仕組みを理解出来ないというのは…同じ様な物を作りだすまでに数十年はかかったもんな!」
「ノワールの元いた世界って、どんな世界だったの?」
「まず人口から話をすると、私の元いた世界の人口は…この世界の10倍以上かもね。 100億人位いたから…」
「100億人って…その星がパンクしないの?」
「私のいた世界は、地球と呼ばれる星以外に…火星という星と金星という星に移住して行った人がいるからね。 だから、そっちの星に移り住んだ人達を合わせて100億人という訳! 元いた星は…20億人位かな?」
それから3人に色々説明されて、答えて行った。
アルマはすぐにあきたらしいけど、ニーナとファティマは興味津々だった。
「ノワールのいた世界の文明に追い付くには、こっちだとあとどれ位掛かるかな?」
「魔法技術が一切なくなってから、更に1000年くらい経たないと追い付かないかな? 私のいた世界も800年くらい前は文明とは程遠い生活を送っていたからね。」
私のいた地球…西暦2733年だった。
その時代では、宇宙旅行は普通だったし…様々な星に調査隊を送って他の星の様子も解っていたから。
太陽から離れている星程、人類はいるけど人の形はしていなかった。
それ以外にも生存の為に激しく争っている星もあり、調査隊の人達も犠牲にあったという話だ。
…と、話が脱線しちゃった。
私は今後の話の事を話した。
「ニーナ…しばらく泊めて欲しいんだけど、良いかな?」
「あ、勇者発表をされた後だから動き難いのね? 勿論良いわよ!」
「他にも色々修業とかもしたいしね、魔王との戦いは避けられないみたいだから、少しでも戦力アップしないと…」
「何か必要な物はある? もしもないのなら揃えるけど…」
「あ、うん。 特には無いけど、3日くらい留守にするけど、その間…アルマとファティマをお願い出来る?」
「何処か行くのか? それなら私達も…」
「いえ、1人の方が色々動きやすいから…それに最後の仲間も尋ねたいしね!」
「まさか…そういってバックレる気じゃないだろうな?」
「バックレないわよ! 私の事…信用してないの?」
「してないな!」
「してないわね。」
「お姉様…信用出来ません」
私は悲しくなってきた。
ここまで仲間や幼馴染に信用されていない何て…
「ノワール…教えろ! 最後の仲間って男か?」
「女の子だよ? 何よ、男だと思っていたの?」
「いや…思ってはいなかったが、ノワールは男の事になると発情したメスみたいになるから心配でな…」
「発情したメスって…」
人を何だと思っているのよ!
人から言われると腹が立つわね…あ、そういえば、私もアクードの事を万年発情した犬とか言ったっけ?
私はアレと同じだと思われていたのね…不愉快だわ!
「ノワールにそんな知り合いが居たんだな? それで強いのか?」
「下手すると…能力的にはアルマより強いかも。 私でも勝てるかどうか…」
「それは楽しみだな!」
「という事で、行ってくるね!」
そういって私は箒を取り出して旅立った。
目的地まで馬車で1週間は掛かる距離だった。
箒でも早くても3日は掛かる。
私は少し飛ばすのだった。
「ニーナにお世話になるんだから、少しはお土産をあそこで買おうかな?」
さて、ノワールのいう新メンバーとは?
そもそも、ノワールは何処を目指しているのだろうか?
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器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。
失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。
過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。
これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。
彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。
毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
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