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最終章・ノワール、貴女は幸せになれましたか?
第二話 ベジツ・ターブル農国の王姫様
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「確か、この辺に…あったわ!」
私はあれから3日間…飛び続けた。
食事は軽食で箒の上でも良かったのだが、寝る時と用を足す時はさすがに地上に降りないと駄目だった。
私は休みながら飛び続けて、ようやくベジツ・ターブル農国に着いたのである。
「何か久々に来たわね…のどかな田園風景…嫌いじゃないわ!」
私のいた地球でもこうした風景はまだ残っていた。
まぁ、遥か昔の時代と比べてかなり少なくはなっていたのだが、今でも重要文化財として残っている場所もあった。
そしてこのベジツ・ターブル農国は、様々な獣人族という種族が暮らしている国でもある。
この国を治める種族は、妖狐の一族であり…この国の王姫であるチヨ様も御狐様である。
人里や他国に行く際には、人に化けるのだが…自国では大きな狐尻尾で狐耳の少女である。
ジコククーニ王国の時は、尻尾をモフモフ出来なかったけど…この国でならそれも可能である。
私は早速門番に声を掛けた。
「あんれぇ~? ごれはノワァ様でねぇが! よぐおごじざぁなっで!」
「こんにちは、チヨ様に会いたいんだけど…いますか?」
「チヨざまがぁ~? おるでおるで! まっででけんろ、いまさ案内するっちゃねぇ!」
私は門番の方に案内されて屋敷に案内をされた。
農国と名が付いているので、城をイメージしたかもしれないが…この国に城は無い。
この国の王族は、誰よりも広い屋敷で暮らしているのである。
イメージ的には、お寺というイメージの方が解り易い。
そしてチヨ様は、この国では巫女も担っているのである。
「チヨ様さ、ノワァ様をおづれいだしやんじた!」
「入ってけろぉ! 今さてをはんなさらんねぇがら!」
私は履物を脱いで中に入った。
この国では、家の中に入る時は履物を脱ぐ習慣があるのです。
懐かしいです!
私も日本にいた時の家ではこうしていました。
私は廊下の先を進んで行くと、応接室があり…そこにはテーブルと掘り炬燵式になっていて、座布団が敷かれていました。
「粗茶ですが…」
「ありがとうございます!」
私はお茶を受け取って口を付ける。
伯爵令嬢時代にこの国に訪れて初めてこのお茶を口にした時、苦みのある茶だと思って苦手だったが…
転生した記憶が甦ると、この苦みも懐かしく思えてくる。
日本にいた時は農家の祖父母がお茶を振舞ってくれていたっけ。
お茶の余韻を楽しんでいると、チヨ様が部屋に入って来た。
勿論、王国で会った時の変身では無く素の方の姿で…
狐と聞くと、金髪に金色の尻尾を思い浮かべる人が多いかもしれないが、チヨ様は緑色の髪に緑色の尻尾である。
緑…どちらかというと、エメラルドグリーンに近いかもしれない。
そして私は…伯爵令嬢時代にあの大きな尻尾をモフモフさせて貰った事があり…それを思い出して両手の指がワキワキと動いてしまうのだった。
「ノワァ…まんずえれえどごさおきづっだなんや~だどさごんぢぎでなくろくろっさえなぁ!」
「ん? んん?」
チヨ様は、王国では解り易く略している方だが、自国ではこの口調である。
しかも訛りが強い上に早口なので、良く聞かないと何を話しているのか解らない時がある。
では、前回の時はどう対応したのか?
それは翻訳機能の魔道具を使用していたのだった…のだけど、今はその魔道具は持ってない。
だけど、安心召されるな!
魔道具で存在するという事は、翻訳する魔法もあるという事なのです!
私はチヨ様に許可を貰って、翻訳魔法を掛けさせて貰った。
「ノワァ! これで大丈夫かな? 私の声はちゃんと届いている?」
「うんうん、大丈夫ですよ! はぁ…これで会話が成り立ちます!」
「しっかしぃ~…魔法って便利な物だね? ノワァ、勇者になったんだよね? 今までの経緯を考えるとおめでとうと言っても良いのだろうか?」
「私の前世の話…天言の鏡から知ったのよね? めでたくはないけど、気持ちは受け取っておくわ!」
私はお茶を啜っていると、チヨ様から話を切り出された。
「それで、ノワァは…今日は何しに来てくれたの?」
「野菜と果物の買い付けと…チヨ様にお願いがあってね。」
「野菜と果物に関してはすぐに手配するよ。 それで、私に用って?」
「魔王討伐の旅に参加してくれないかと思ってね…」
「魔王討伐の旅ですか…?」
チヨ様を含め、ベジツ・ターブル農国の民達の獣人としての姿は…
ほとんどの人類が獣人族が存在しているというのは認知されている。
だけど…実際にあまり目にする事が無い為に、偏見な目で見られる事が多いのです。
ファティマは受け入れてくれると思うけど、アルマは…多分平気かな?
歴史を紐解くと、獣人族は魔王の時代には…魔王の配下で暴れまわっていたという歴史があるのです。
だが、勇者が魔王を討伐した以降は…
人々に危害を加えない事を条件に、獣人族は魔王の楔から開放されて、この国を作って平和的に生活を送っていたのです。
ただ、それでも…最初の数十年間は遺恨が残っていた所為か、獣人族は何度も迫害を受けていましたが…
現在となっては、その時の記憶が薄れて物珍しい種族となっているのです。
「ノワァ…気持ちは嬉しいけど、私は同行するには…ね。」
「やっぱり、魔王時代の事がまだ?」
「新たに魔王が復活して、獣人族が魔王軍に与するかもしれない…なんて呟かれている話も聞くわ!」
はいはい、ここまでは想定通りね。
チヨ様の気持ちを考えるると、首を縦に振るのは躊躇いがあるでしょう。
でも、そんな不安を解決する策を用意してあるのです!
じゃなければ、この国には来ないから…w
「チヨ様的には、私との旅は嫌?」
「嫌じゃないよ! 寧ろ私を頼ってくれるのは嬉しい! だけど、私が参加している事でノワァ達が変な目で見られるのが絶えられなくてね…」
あぁ…チヨ様は何て良い子なのかしら?
大きくて可愛らしい尻尾をモフりながら、耳を甘噛みしたいわぁ!
…と、自重しよう。
以前それをやって怒られた事があるからね。
「これは、私の考えなんだけど…チヨ様獣人族が勇者の旅に同行して魔王を倒す!…となれば、獣人族は偏見の眼から避けられる+獣人族が認可されるでしょう。 勇者と共に魔王を倒した獣人族として、このベジツ・ターブル農国の噂も広がりつつ、野菜の出荷国も増えるんじゃないかな?」
「それは…嬉しい話ね! 一石二鳥じゃないか…でも、ノワァに何の得があるのか?」
「私はチヨ様の腕を期待しているから! 回復術が出来て、格闘能力に長けているチヨ様をね!」
獣人族は他の種族と違って、身体能力が高い。
チヨ様はそれ以外に、巫女としての仕事も行っている為に回復術やサポート能力にも秀でている。
私も回復魔法は出来ない訳じゃないけど、チヨ様に比べると同等か…それより少し下になる。
なので、チヨ様なしでは魔王討伐の旅は考えられないのです!
「んじゃ、少し待ってけんろぉ! すぐさ用意してくるっべなぁ!」
「あ、ちょっと待って! 翻訳魔法が解け始めているから…」
私は再度チヨ様に翻訳魔法を掛けさせて貰った。
そしてチヨ様は奥の部屋に入ると、旅衣装に着替えていった。
それと入れ替わりに農民が野菜や果物を大量に持って来てくれた。
私は家族の家財道具を売り払って稼いだ金額を渡したのだった。
「そういえば…チヨ様の巫女衣装ってみた事ないわね? 上は白で袴は赤なのかな?」
「ノワァ、お待たせ…って、どうしたの?」
チヨ様が着替えた姿を披露した。
当然、ここは日本ではないので上が白で下が赤の袴姿ではない。
大正浪漫を感じさせるような着物姿には違いないが、動きやすい様に体だけ服があり…その他は毛皮に覆われていた。
なんだかんだ言って…耳と尻尾以外の露出した体を見るのは初めてだった。
これはこれで…アリですね。
「では、用意が出来ましたね? すぐに立ちたいと思うのですが…良いですか?」
「はい! それと旅の道中では呼び捨てにな!」
「分かったわ、それじゃ宜しくね…チヨ!」
私はチヨの体に手を触れてから、転移魔法をしてニーナの屋敷に戻ったのだった。
そしてチヨを3人に紹介した。
「チヨ様、お久しぶりですね!」
「あら? ファティマ姫様! 久方振りです。」
あ、お互い国の王女だから知っていて当たり前か!
だが、アルマは不思議そうな顔をしていたので、脇腹を肘で小突いた。
「私は、元テスタレディシア王国の騎士団に所属していた…」
「ヴァルキリーのアルマ殿ですね? 貴女の噂は我が国迄届いております。」
アルマは地面に跪いて頭を下げた。
私は友達感覚だったけど、チヨも国の姫様なのだと思った。
「そしてこちらが、私の幼馴染の…」
「ニーナ・バレンシアーナです。 ベジツ・ターブル農国王姫のチヨ様…お会い出来て光栄です!」
「ニーナ殿、貴女の薬草栽培の力量も我が国では高く評価されています。 ノワァ…時間があるならニーナ殿の薬草園を見て回りたいのだが?」
「どうぞどうぞ! まだまだ出発しないので…」
ニーナは嬉しそうにチヨを案内して行った。
その様子を見ていたアルマは、呟いていた。
「あのフワフワな尻尾、それにケモミミ…イィな!」
「でしょ? あの尻尾…触ると気持ちいのよw」
アルマの手を見ると、指がワキワキとしていた。
その気持ち…凄く解る!
「これで、メンバーは揃ったね!」
「チヨ様が…私より強いという?」
「出発は3日後だから、その間に手合わせをしてみると良いわよ! 冗談抜きで強いから…」
そして…アルマはチヨに手合わせを挑み…敗北をして悔しがるのだった。
私も挑んだけど、バフを掛けて互角という…いえ、チヨの方が少し上だった。
その後3日間は、準備や戦術などを相談して行き…
旅立ちの日が訪れたのだった。
「ノワール、次の目的地は何処だ?」
「石鉱国ヴァルキサスを目指そうと思っているわ!」
「なるほど…聖剣か!」
「そうそう、じゃあ行くわね。 またね、ニーナ!」
「うん、皆さん元気でね!」
ニーナの見送りで私達4人は旅立つのだった。
そして石鉱国ヴァルキサスを目指す途中に、厄介な相手と出くわすのだった。
私はあれから3日間…飛び続けた。
食事は軽食で箒の上でも良かったのだが、寝る時と用を足す時はさすがに地上に降りないと駄目だった。
私は休みながら飛び続けて、ようやくベジツ・ターブル農国に着いたのである。
「何か久々に来たわね…のどかな田園風景…嫌いじゃないわ!」
私のいた地球でもこうした風景はまだ残っていた。
まぁ、遥か昔の時代と比べてかなり少なくはなっていたのだが、今でも重要文化財として残っている場所もあった。
そしてこのベジツ・ターブル農国は、様々な獣人族という種族が暮らしている国でもある。
この国を治める種族は、妖狐の一族であり…この国の王姫であるチヨ様も御狐様である。
人里や他国に行く際には、人に化けるのだが…自国では大きな狐尻尾で狐耳の少女である。
ジコククーニ王国の時は、尻尾をモフモフ出来なかったけど…この国でならそれも可能である。
私は早速門番に声を掛けた。
「あんれぇ~? ごれはノワァ様でねぇが! よぐおごじざぁなっで!」
「こんにちは、チヨ様に会いたいんだけど…いますか?」
「チヨざまがぁ~? おるでおるで! まっででけんろ、いまさ案内するっちゃねぇ!」
私は門番の方に案内されて屋敷に案内をされた。
農国と名が付いているので、城をイメージしたかもしれないが…この国に城は無い。
この国の王族は、誰よりも広い屋敷で暮らしているのである。
イメージ的には、お寺というイメージの方が解り易い。
そしてチヨ様は、この国では巫女も担っているのである。
「チヨ様さ、ノワァ様をおづれいだしやんじた!」
「入ってけろぉ! 今さてをはんなさらんねぇがら!」
私は履物を脱いで中に入った。
この国では、家の中に入る時は履物を脱ぐ習慣があるのです。
懐かしいです!
私も日本にいた時の家ではこうしていました。
私は廊下の先を進んで行くと、応接室があり…そこにはテーブルと掘り炬燵式になっていて、座布団が敷かれていました。
「粗茶ですが…」
「ありがとうございます!」
私はお茶を受け取って口を付ける。
伯爵令嬢時代にこの国に訪れて初めてこのお茶を口にした時、苦みのある茶だと思って苦手だったが…
転生した記憶が甦ると、この苦みも懐かしく思えてくる。
日本にいた時は農家の祖父母がお茶を振舞ってくれていたっけ。
お茶の余韻を楽しんでいると、チヨ様が部屋に入って来た。
勿論、王国で会った時の変身では無く素の方の姿で…
狐と聞くと、金髪に金色の尻尾を思い浮かべる人が多いかもしれないが、チヨ様は緑色の髪に緑色の尻尾である。
緑…どちらかというと、エメラルドグリーンに近いかもしれない。
そして私は…伯爵令嬢時代にあの大きな尻尾をモフモフさせて貰った事があり…それを思い出して両手の指がワキワキと動いてしまうのだった。
「ノワァ…まんずえれえどごさおきづっだなんや~だどさごんぢぎでなくろくろっさえなぁ!」
「ん? んん?」
チヨ様は、王国では解り易く略している方だが、自国ではこの口調である。
しかも訛りが強い上に早口なので、良く聞かないと何を話しているのか解らない時がある。
では、前回の時はどう対応したのか?
それは翻訳機能の魔道具を使用していたのだった…のだけど、今はその魔道具は持ってない。
だけど、安心召されるな!
魔道具で存在するという事は、翻訳する魔法もあるという事なのです!
私はチヨ様に許可を貰って、翻訳魔法を掛けさせて貰った。
「ノワァ! これで大丈夫かな? 私の声はちゃんと届いている?」
「うんうん、大丈夫ですよ! はぁ…これで会話が成り立ちます!」
「しっかしぃ~…魔法って便利な物だね? ノワァ、勇者になったんだよね? 今までの経緯を考えるとおめでとうと言っても良いのだろうか?」
「私の前世の話…天言の鏡から知ったのよね? めでたくはないけど、気持ちは受け取っておくわ!」
私はお茶を啜っていると、チヨ様から話を切り出された。
「それで、ノワァは…今日は何しに来てくれたの?」
「野菜と果物の買い付けと…チヨ様にお願いがあってね。」
「野菜と果物に関してはすぐに手配するよ。 それで、私に用って?」
「魔王討伐の旅に参加してくれないかと思ってね…」
「魔王討伐の旅ですか…?」
チヨ様を含め、ベジツ・ターブル農国の民達の獣人としての姿は…
ほとんどの人類が獣人族が存在しているというのは認知されている。
だけど…実際にあまり目にする事が無い為に、偏見な目で見られる事が多いのです。
ファティマは受け入れてくれると思うけど、アルマは…多分平気かな?
歴史を紐解くと、獣人族は魔王の時代には…魔王の配下で暴れまわっていたという歴史があるのです。
だが、勇者が魔王を討伐した以降は…
人々に危害を加えない事を条件に、獣人族は魔王の楔から開放されて、この国を作って平和的に生活を送っていたのです。
ただ、それでも…最初の数十年間は遺恨が残っていた所為か、獣人族は何度も迫害を受けていましたが…
現在となっては、その時の記憶が薄れて物珍しい種族となっているのです。
「ノワァ…気持ちは嬉しいけど、私は同行するには…ね。」
「やっぱり、魔王時代の事がまだ?」
「新たに魔王が復活して、獣人族が魔王軍に与するかもしれない…なんて呟かれている話も聞くわ!」
はいはい、ここまでは想定通りね。
チヨ様の気持ちを考えるると、首を縦に振るのは躊躇いがあるでしょう。
でも、そんな不安を解決する策を用意してあるのです!
じゃなければ、この国には来ないから…w
「チヨ様的には、私との旅は嫌?」
「嫌じゃないよ! 寧ろ私を頼ってくれるのは嬉しい! だけど、私が参加している事でノワァ達が変な目で見られるのが絶えられなくてね…」
あぁ…チヨ様は何て良い子なのかしら?
大きくて可愛らしい尻尾をモフりながら、耳を甘噛みしたいわぁ!
…と、自重しよう。
以前それをやって怒られた事があるからね。
「これは、私の考えなんだけど…チヨ様獣人族が勇者の旅に同行して魔王を倒す!…となれば、獣人族は偏見の眼から避けられる+獣人族が認可されるでしょう。 勇者と共に魔王を倒した獣人族として、このベジツ・ターブル農国の噂も広がりつつ、野菜の出荷国も増えるんじゃないかな?」
「それは…嬉しい話ね! 一石二鳥じゃないか…でも、ノワァに何の得があるのか?」
「私はチヨ様の腕を期待しているから! 回復術が出来て、格闘能力に長けているチヨ様をね!」
獣人族は他の種族と違って、身体能力が高い。
チヨ様はそれ以外に、巫女としての仕事も行っている為に回復術やサポート能力にも秀でている。
私も回復魔法は出来ない訳じゃないけど、チヨ様に比べると同等か…それより少し下になる。
なので、チヨ様なしでは魔王討伐の旅は考えられないのです!
「んじゃ、少し待ってけんろぉ! すぐさ用意してくるっべなぁ!」
「あ、ちょっと待って! 翻訳魔法が解け始めているから…」
私は再度チヨ様に翻訳魔法を掛けさせて貰った。
そしてチヨ様は奥の部屋に入ると、旅衣装に着替えていった。
それと入れ替わりに農民が野菜や果物を大量に持って来てくれた。
私は家族の家財道具を売り払って稼いだ金額を渡したのだった。
「そういえば…チヨ様の巫女衣装ってみた事ないわね? 上は白で袴は赤なのかな?」
「ノワァ、お待たせ…って、どうしたの?」
チヨ様が着替えた姿を披露した。
当然、ここは日本ではないので上が白で下が赤の袴姿ではない。
大正浪漫を感じさせるような着物姿には違いないが、動きやすい様に体だけ服があり…その他は毛皮に覆われていた。
なんだかんだ言って…耳と尻尾以外の露出した体を見るのは初めてだった。
これはこれで…アリですね。
「では、用意が出来ましたね? すぐに立ちたいと思うのですが…良いですか?」
「はい! それと旅の道中では呼び捨てにな!」
「分かったわ、それじゃ宜しくね…チヨ!」
私はチヨの体に手を触れてから、転移魔法をしてニーナの屋敷に戻ったのだった。
そしてチヨを3人に紹介した。
「チヨ様、お久しぶりですね!」
「あら? ファティマ姫様! 久方振りです。」
あ、お互い国の王女だから知っていて当たり前か!
だが、アルマは不思議そうな顔をしていたので、脇腹を肘で小突いた。
「私は、元テスタレディシア王国の騎士団に所属していた…」
「ヴァルキリーのアルマ殿ですね? 貴女の噂は我が国迄届いております。」
アルマは地面に跪いて頭を下げた。
私は友達感覚だったけど、チヨも国の姫様なのだと思った。
「そしてこちらが、私の幼馴染の…」
「ニーナ・バレンシアーナです。 ベジツ・ターブル農国王姫のチヨ様…お会い出来て光栄です!」
「ニーナ殿、貴女の薬草栽培の力量も我が国では高く評価されています。 ノワァ…時間があるならニーナ殿の薬草園を見て回りたいのだが?」
「どうぞどうぞ! まだまだ出発しないので…」
ニーナは嬉しそうにチヨを案内して行った。
その様子を見ていたアルマは、呟いていた。
「あのフワフワな尻尾、それにケモミミ…イィな!」
「でしょ? あの尻尾…触ると気持ちいのよw」
アルマの手を見ると、指がワキワキとしていた。
その気持ち…凄く解る!
「これで、メンバーは揃ったね!」
「チヨ様が…私より強いという?」
「出発は3日後だから、その間に手合わせをしてみると良いわよ! 冗談抜きで強いから…」
そして…アルマはチヨに手合わせを挑み…敗北をして悔しがるのだった。
私も挑んだけど、バフを掛けて互角という…いえ、チヨの方が少し上だった。
その後3日間は、準備や戦術などを相談して行き…
旅立ちの日が訪れたのだった。
「ノワール、次の目的地は何処だ?」
「石鉱国ヴァルキサスを目指そうと思っているわ!」
「なるほど…聖剣か!」
「そうそう、じゃあ行くわね。 またね、ニーナ!」
「うん、皆さん元気でね!」
ニーナの見送りで私達4人は旅立つのだった。
そして石鉱国ヴァルキサスを目指す途中に、厄介な相手と出くわすのだった。
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