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〜1. 婚約破棄と代替の婚姻〜
契りの翌朝
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ゴツゴツした感触に目を覚ます。瞳を開けると目の前に分厚い胸板が見えて、私はカァっと頬を熱くした。
サイラス殿下が私を満たしていた感覚がまだお腹の奥に残っている。彼の太くて硬いモノが、昨夜は何十回──、いえ、何百回と私のナカを擦り上げた。
それは閨教育で習ったそれよりずっと生々しいもので、思い出すだけで顔から火が出そうだ。
下腹部に残る破瓜の痛み。筋肉痛で気怠い身体。だけど、心は多幸感のようなもので満たされている。
何も怖くはなかった。昨夜の彼は、この逞しい身体に似合わず、驚くほど優しく紳士だった。溶けるように甘い時間の中で、気付けば私の "初めて" は、彼に奪われていた。
◇
「ロザリア嬢、君とは婚約を破棄させてもらう…!」
そう言われたのは、ここに来るほんの一ヶ月前のことだった。
社交シーズン最初の王宮舞踏会。ファーストダンスは、帝国の第一皇子である彼──アーサー・ロイヤル・セントレア殿下と、その婚約者である私が務めるはずだった。
エスコートに現れなかった時点で、予感はしていた。本来、私の居るべき場所には、別の令嬢が勝ち誇った顔をして立っていた。
この男はここまで愚かだったろうか。帝国の最高位貴族として代々その名を守ってきた我がクレディア公爵家。内政は勿論のこと、公的な外交から貿易に至るまで、帝国にとって広く重要な役割を担っている。
帝国中の貴族が揃うこの場所で、私を晒し者にするような婚約破棄。こんな形で我が家の名誉を穢すことがどういう意味を持つのか、そんなこともわからないほど世間知らずな男が帝国の第一皇子であることに、その場にいた誰もが呆れ返ったに違いない。
たった一ヶ月前のことなのに、それはもう遠い昔のことみたいだ。骨を埋める覚悟で生きてきたセントレア帝国から離れ、私は身一つで、ここにいる。
◇
「ん…」
朝の訪れに眉をしかめるサイラス殿下にドキッとする。初夜を経た翌日は、どういう顔をしたらいいのかしら…
「起きていたのか…」
「は、はい…」
まだ眠たそうな顔でサイラス殿下が腕の中の私を見る。意外と朝に弱いのだろうか。
「身体は、ツラくないか…?」
「だ、大丈夫です…。あの、殿下は…?」
おずおずとそう聞いた私に、サイラス殿下が眠そうにしていた瞳をキョトンと丸くする。何かおかしなことを聞いただろうか。
「不公平なことに、あの行為では、男はただ気持ちいいんだ」
「え…っ、あ…、そ、そうなの…ですね…」
…そういうものなのね。それなら昨夜も、ちゃんと気持ち良くなっていただけたのだろうか。相手は無理矢理妻として押し付けられた私であった訳だけれど…
「今日はここでゆっくり休んでいるといい。昼過ぎに貴女専属のメイドを寄越すから」
「い、いえ…! 大丈夫です…っ、痛…っ!」
慌ててベッドから身体を起こした瞬間、腰に痛みが走った。その場でうずくまる私に、サイラス殿下が小さく笑う。
「悪いな。初めての貴女に無理をさせているのはわかっていたんだが、僕も夢中で止められなかった」
そう言いながら、サイラス殿下が私に自身のバスローブを掛けてくれる。
夢中で…? 男性の性欲が強いということは閨教育でも聞いていたけれど、相手は誰でも良いものなのかしら…
「あ…っ」
「ん? どうかしたか。他にもどこか痛みが?」
「い、いえ…!」
「隠さないで言え。何かあったら困る」
「だ、大丈夫です…、ただ…、ナカから、その…何かが…」
そこまで言ったところで、何かを察したようにサイラス殿下が恥ずかしそうに口を覆う。隠さないで言えとは言われたけど、さすがに言うべきことではなかったかもしれない。
「悪い…。昨夜たっぷり注いだ子種が、起き上がって出て来たんだろう」
「子…っ!?」
「…白い結婚にするつもりはないと、言っただろう?」
そう言った彼は、昨夜の行為中に見せた熱い瞳を垣間見せる。そのまま少し強引に唇を奪われて、私はそれを素直に受け入れた。
サイラス殿下が私を満たしていた感覚がまだお腹の奥に残っている。彼の太くて硬いモノが、昨夜は何十回──、いえ、何百回と私のナカを擦り上げた。
それは閨教育で習ったそれよりずっと生々しいもので、思い出すだけで顔から火が出そうだ。
下腹部に残る破瓜の痛み。筋肉痛で気怠い身体。だけど、心は多幸感のようなもので満たされている。
何も怖くはなかった。昨夜の彼は、この逞しい身体に似合わず、驚くほど優しく紳士だった。溶けるように甘い時間の中で、気付けば私の "初めて" は、彼に奪われていた。
◇
「ロザリア嬢、君とは婚約を破棄させてもらう…!」
そう言われたのは、ここに来るほんの一ヶ月前のことだった。
社交シーズン最初の王宮舞踏会。ファーストダンスは、帝国の第一皇子である彼──アーサー・ロイヤル・セントレア殿下と、その婚約者である私が務めるはずだった。
エスコートに現れなかった時点で、予感はしていた。本来、私の居るべき場所には、別の令嬢が勝ち誇った顔をして立っていた。
この男はここまで愚かだったろうか。帝国の最高位貴族として代々その名を守ってきた我がクレディア公爵家。内政は勿論のこと、公的な外交から貿易に至るまで、帝国にとって広く重要な役割を担っている。
帝国中の貴族が揃うこの場所で、私を晒し者にするような婚約破棄。こんな形で我が家の名誉を穢すことがどういう意味を持つのか、そんなこともわからないほど世間知らずな男が帝国の第一皇子であることに、その場にいた誰もが呆れ返ったに違いない。
たった一ヶ月前のことなのに、それはもう遠い昔のことみたいだ。骨を埋める覚悟で生きてきたセントレア帝国から離れ、私は身一つで、ここにいる。
◇
「ん…」
朝の訪れに眉をしかめるサイラス殿下にドキッとする。初夜を経た翌日は、どういう顔をしたらいいのかしら…
「起きていたのか…」
「は、はい…」
まだ眠たそうな顔でサイラス殿下が腕の中の私を見る。意外と朝に弱いのだろうか。
「身体は、ツラくないか…?」
「だ、大丈夫です…。あの、殿下は…?」
おずおずとそう聞いた私に、サイラス殿下が眠そうにしていた瞳をキョトンと丸くする。何かおかしなことを聞いただろうか。
「不公平なことに、あの行為では、男はただ気持ちいいんだ」
「え…っ、あ…、そ、そうなの…ですね…」
…そういうものなのね。それなら昨夜も、ちゃんと気持ち良くなっていただけたのだろうか。相手は無理矢理妻として押し付けられた私であった訳だけれど…
「今日はここでゆっくり休んでいるといい。昼過ぎに貴女専属のメイドを寄越すから」
「い、いえ…! 大丈夫です…っ、痛…っ!」
慌ててベッドから身体を起こした瞬間、腰に痛みが走った。その場でうずくまる私に、サイラス殿下が小さく笑う。
「悪いな。初めての貴女に無理をさせているのはわかっていたんだが、僕も夢中で止められなかった」
そう言いながら、サイラス殿下が私に自身のバスローブを掛けてくれる。
夢中で…? 男性の性欲が強いということは閨教育でも聞いていたけれど、相手は誰でも良いものなのかしら…
「あ…っ」
「ん? どうかしたか。他にもどこか痛みが?」
「い、いえ…!」
「隠さないで言え。何かあったら困る」
「だ、大丈夫です…、ただ…、ナカから、その…何かが…」
そこまで言ったところで、何かを察したようにサイラス殿下が恥ずかしそうに口を覆う。隠さないで言えとは言われたけど、さすがに言うべきことではなかったかもしれない。
「悪い…。昨夜たっぷり注いだ子種が、起き上がって出て来たんだろう」
「子…っ!?」
「…白い結婚にするつもりはないと、言っただろう?」
そう言った彼は、昨夜の行為中に見せた熱い瞳を垣間見せる。そのまま少し強引に唇を奪われて、私はそれを素直に受け入れた。
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