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ああげっそり真理子

真理子がげっそり

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 びっくりしてなんの音だろうかと振り返ると、割れたお皿と、青ざめた顔の真理子が立っていた。

 お皿は見事に割れてあたり一面に散らばっている。これはまずいと思い真理子の元にわたしは駆けよった。

 わたしよりも一歩早く真中さんが真理子の元に辿り着き、「失礼しました!」とお客様に謝った。

 真中さんは、ほうきとちりとりを持ってきて、さささっと割れた食器類を片づけている。

 真理子は、すみません、すみませんと謝りながら、自分も割れた食器類を片づけようとするが、

 「いいから、もう調理場に下がって」と真中さんは言った。

 わたしは、真理子の背中を軽く押して一緒に調理場に戻った。

 調理場に戻るなり真理子は、

 「みどりちゃ~ん、わたしどうしよう! お皿割っちゃった。しかもそれだけじゃなくて、仕事が全くできてないよ~」

 いつもは何事にも動じない、そんな真理子なのに今の真理子は肩を落として沈み込んでいる。

 「慣れないことなんだから仕方ないよ。そのうち慣れてきたら、真理子だってちゃんと仕事が出来るようになるはず! だから元気を出して」

 萎れた花みたいになり項垂れている真理子に、わたしは、なんと言っていいのか分からず、ありきたりな大丈夫だからという慰めの言葉しかかけられなかった。

 沈み込んでいるそんな真理子に追い討ちをかけるような言葉を真中さんが発した。

 「梅木さん! 今日はもう朝食会場はいいから、あなたはには罰として寮の風呂場掃除をしてもらいます!」

 「そ、そんなー」

 真理子の顔はみるみるうちに血の気がなくなり顔面蒼白になっている。

 これは、さすがに可哀想なんでは……。

 いくら真理子がドジで馬鹿で間抜けだったとしても。

 「さあ、行きますよ! 梅木さん」

 真理子の腕を引っ張る真中さん。


 わたしは、勇気を出して、

 「真中さん、梅木さんも頑張っています! たしかにドジでのろまな子ですけど、梅木さんなりに頑張っているのですから、罰なんて与えないでください」

 と言ったのだけど。

 「並木さん。あなたが友達思いなのは、分かります。だけど、梅木さんみたいな甘えた人には、これくらいしないと、余計甘えますから。さあ、行きますよ」

 真中さんは、容赦なく真理子の腕を引っ張りずるずる引きずっていった。

 真理子はわたしの方を振り向き、助けて~みどりちゃんと、言っているようだった。
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