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わたしの家にミケネコーン
1 真川家で夕食
しおりを挟むこの日の真川家の夕食は賑やかだった。ミケネコーンは、わたしが赤ちゃんの時に使っていたベビー用のハイチェアーに座りそれはもう美味しそうにお母さんの料理を食べた。
「美味しいですにゃ~ん、めちゃ旨ですにゃん!」
ミケネコーンはぽろぽろご飯粒をこぼしながら食べている。
お父さんが、「ただいま~」と家に帰って来て食卓に座るミケネコーンを見た瞬間、「それはなんだ~」と叫んだ。
「ミケネコーンですにゃん。あ、夏花のお父さんですかにゃん?」
挨拶をしたミケネコーンの裂けたお口からびゅーんーー!! とご飯粒が飛んだかと思うとお父さんの顔面に直撃した。
すると、お父さんはワナワナと震え、「そのぶさかわ猫を捨てろ~」と叫んだ。
「あ、あんまりですにゃん! ミケネコーンを捨てるなんてあんまりですにゃん!」
ミケネコーンは大粒の涙を流し肉球のある手をぶんぶん左右に振りながら抗議をした。
お父さんは顔にくっついたご飯粒を手の甲で拭い、「ふざけるな~」と言った。
でも、その後、「仕方ないな……」と言ってふぅーと溜め息をついた。
やっぱりわたしのお父さんは優しいのだ。
「お父さん、ありがとうですにゃん。ミケネコーンはこの家に居てもかまわないのですねにゃん」
ミケネコーンは、にゃぱにゃぱ笑いそして、ご飯粒をぽろぽろこぼした。
涙とご飯粒にまみれてぐちゃぐちゃになっているミケネコーンの顔にとびっきりの笑顔という名の花が咲いた。
「……仕方ないな」
お父さんは眉間に皺を寄せボソリと言った。
「ありがとうですにゃ~ん! ミケネコーンは嬉しいですにゃん。だって、ミケネコーンはお父ちゃまに怪獣界から落っことされて、悲しくて辛かったんですにゃん!」
ミケネコーンはそう言ったかと思うと、どっぴゅーん! とジャンプをしてお父さんに抱きついた。
「おいおい、俺の顔にまたまたご飯粒がくっつくだろう!」
お父さんは怒ったような声を出しているけれどまんざらでもないようだ。だって、頬が緩んでいるのだから。
ミケネコーン良かったねとわたしも笑顔になった。
「美味しいですにゃん! めちゃ旨ですにゃ~ん!」
お父さんににゃんにゃんと甘え満足した様子のミケネコーンはデザートのスイカもぺろりと食べた。
そのミケネコーンの口の周りがスイカ色に染まったことは言うまでもなかった。
こうして、ミケネコーンはわたしの家に居候として住むことが正式に決まった。
「夏花の部屋は沖縄の飾り物がたくさんあるんですにゃん」
ミケネコーンは、わたしの部屋の中をキョロキョロと見渡している。
「うん、従姉のお姉ちゃんと友達が沖縄に引っ越したから……」
「そうなんですかにゃん! にゃんだか夏ぽいお部屋で良いですにゃん!」
ミケネコーンのキラキラと輝いている大きな目を眺めながらわたしは、沖縄に引っ越しをした友達のことを思い出し溜め息をついた。
そんなわたしの表情に気がついたのかミケネコーンは眉間に皺を寄せ、「夏花、どうかしたんですかにゃん?」と聞いてきた。
わたしは、「ううん、気にしないでなんでもないよ」と答えた。
だけど、本当は聞いてもらいたいことがあったのだった。
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