9 / 66
わたしの家にミケネコーン
1 真川家で夕食
しおりを挟むこの日の真川家の夕食は賑やかだった。ミケネコーンは、わたしが赤ちゃんの時に使っていたベビー用のハイチェアーに座りそれはもう美味しそうにお母さんの料理を食べた。
「美味しいですにゃ~ん、めちゃ旨ですにゃん!」
ミケネコーンはぽろぽろご飯粒をこぼしながら食べている。
お父さんが、「ただいま~」と家に帰って来て食卓に座るミケネコーンを見た瞬間、「それはなんだ~」と叫んだ。
「ミケネコーンですにゃん。あ、夏花のお父さんですかにゃん?」
挨拶をしたミケネコーンの裂けたお口からびゅーんーー!! とご飯粒が飛んだかと思うとお父さんの顔面に直撃した。
すると、お父さんはワナワナと震え、「そのぶさかわ猫を捨てろ~」と叫んだ。
「あ、あんまりですにゃん! ミケネコーンを捨てるなんてあんまりですにゃん!」
ミケネコーンは大粒の涙を流し肉球のある手をぶんぶん左右に振りながら抗議をした。
お父さんは顔にくっついたご飯粒を手の甲で拭い、「ふざけるな~」と言った。
でも、その後、「仕方ないな……」と言ってふぅーと溜め息をついた。
やっぱりわたしのお父さんは優しいのだ。
「お父さん、ありがとうですにゃん。ミケネコーンはこの家に居てもかまわないのですねにゃん」
ミケネコーンは、にゃぱにゃぱ笑いそして、ご飯粒をぽろぽろこぼした。
涙とご飯粒にまみれてぐちゃぐちゃになっているミケネコーンの顔にとびっきりの笑顔という名の花が咲いた。
「……仕方ないな」
お父さんは眉間に皺を寄せボソリと言った。
「ありがとうですにゃ~ん! ミケネコーンは嬉しいですにゃん。だって、ミケネコーンはお父ちゃまに怪獣界から落っことされて、悲しくて辛かったんですにゃん!」
ミケネコーンはそう言ったかと思うと、どっぴゅーん! とジャンプをしてお父さんに抱きついた。
「おいおい、俺の顔にまたまたご飯粒がくっつくだろう!」
お父さんは怒ったような声を出しているけれどまんざらでもないようだ。だって、頬が緩んでいるのだから。
ミケネコーン良かったねとわたしも笑顔になった。
「美味しいですにゃん! めちゃ旨ですにゃ~ん!」
お父さんににゃんにゃんと甘え満足した様子のミケネコーンはデザートのスイカもぺろりと食べた。
そのミケネコーンの口の周りがスイカ色に染まったことは言うまでもなかった。
こうして、ミケネコーンはわたしの家に居候として住むことが正式に決まった。
「夏花の部屋は沖縄の飾り物がたくさんあるんですにゃん」
ミケネコーンは、わたしの部屋の中をキョロキョロと見渡している。
「うん、従姉のお姉ちゃんと友達が沖縄に引っ越したから……」
「そうなんですかにゃん! にゃんだか夏ぽいお部屋で良いですにゃん!」
ミケネコーンのキラキラと輝いている大きな目を眺めながらわたしは、沖縄に引っ越しをした友達のことを思い出し溜め息をついた。
そんなわたしの表情に気がついたのかミケネコーンは眉間に皺を寄せ、「夏花、どうかしたんですかにゃん?」と聞いてきた。
わたしは、「ううん、気にしないでなんでもないよ」と答えた。
だけど、本当は聞いてもらいたいことがあったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
今、この瞬間を走りゆく
佐々森りろ
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞 奨励賞】
皆様読んでくださり、応援、投票ありがとうございました!
小学校五年生の涼暮ミナは、父の知り合いの詩人・松風洋さんの住む東北に夏休みを利用して東京からやってきた。同い年の洋さんの孫のキカと、その友達ハヅキとアオイと仲良くなる。洋さんが初めて書いた物語を読ませてもらったミナは、みんなでその小説の通りに街を巡り、その中でそれぞれが抱いている見えない未来への不安や、過去の悲しみ、現実の自分と向き合っていく。
「時あかり、青嵐が吹いたら、一気に走り出せ」
合言葉を言いながら、もう使われていない古い鉄橋の上を走り抜ける覚悟を決めるが──
ひと夏の冒険ファンタジー
まぼろしのミッドナイトスクール
木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~
とらんぽりんまる
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞、奨励賞受賞】ありがとうございました!
主人公の光は、小学校五年生の女の子。
光は魔術や不思議な事が大好きで友達と魔術クラブを作って活動していたが、ある日メンバーの三人がクラブをやめると言い出した。
その日はちょうど、召喚魔法をするのに一番の日だったのに!
一人で裏山に登り、光は召喚魔法を発動!
でも、なんにも出て来ない……その時、子ども達の間で噂になってる『追いかけ鬼』に襲われた!
それを助けてくれたのは、まさかの悪魔王子!?
人間界へ遊びに来たという悪魔王子は、人間のフリをして光の家から小学校へ!?
追いかけ鬼に命を狙われた光はどうなる!?
※稚拙ながら挿絵あり〼
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる