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6,汗だくセックス

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ベッドの上に寝転んで、僕は天井を仰ぎ見る。
 白石さんは僕の上を跨ぐようにしながら、緊張した表情で見下ろしてきた。
 蜜で濡れた秘部が丸見えで、股間に熱がより集まっていく。
 硬く直立した、ゴムが被さったペニスを白石さんは恥ずかしがりながらも手にとって、やや苦戦しつつも自分の中に迎え入れていく。

「もっと一気に入れてもいいんですよ」
「だって……これ……っ……ううっ」
「手伝ってあげましょうか? 下から突き上げて……」
「いいっ。自分でやれるから……」

 横たわる僕の上に白石さんが覆いかぶさる体位。
 彼女がそのやり方を提案し、僕もそれに賛同した。
 セックスにやや積極的になりつつある彼女が、どんな風に僕を攻めてくれるのか、気になったから。
 そうこうしている内に、僕の性器は彼女の中に呑み込まれた。
 白石さんは息を整えつつ、馴染んでいくのを待っている。

「大丈夫ですか? 無理しなくても……」
「……平気。倉部くんはじっとしていてくれればいい」

 不敵な笑み。虚勢なのか何か秘策があるのかは知らないけど、容姿に凛々しさを持つ上に優等生の白石さんがそう言うと、不思議と頼もしさすら感じられた。
 彼女は僕の胸部にまでゆっくりと倒れこんできて、密着する姿勢で重なり合う。
 白石さんの顔が、すぐそこにあった。キスすら出来そうなくらい、近くにある。

「いい? 動くから」

 そう言って、彼女が腰を動かし始める。
 上下にゆさゆさと揺らしながらのピストン運動。
 性器を擦られる刺激が僕を襲う。

「っ……結構上手いな」

 僕の感想に彼女はニヤニヤと笑いながら腰を振る。
 僕の胸部に密着する乳房がくにゃくにゃと押し付けられて、その柔らかさが心地良い。
 僕も白石さんも、段々汗をかいてきた。エアコンの設定温度が控えめの部屋で密着しながらの性行為をしているのだから当然だ。
 抱き合う僕らの身体はベトベトで、滲み出た汗が混ざり合う。
 首筋に伝わる水滴が喉の窪みに溜まっているようだったけど、そんなことは殆ど意識の外に追いやられているほど僕は興奮していた。
 蒸し暑い中、白石さんは腰を上下や左右に動かして刺激を与えてくる。
 僕のペニスは彼女の中をかき回し、その内奥を抉じ開けようとするかのようだった。
 肉棒が何度も白石さんの奥を叩く。肌がぶつかる音が、部屋に響く。
 暑かった。熱かった。
 夏の日差しが差し込む部屋の温度は三十度を超えていて、弱めの設定にしたエアコンというのもあってじっとしているだけでも汗ばむ室温だ。
 ゼリー状の熱気が僕らを包み込んで、すだれのように汗が流れ落ちる。

「んっ……あんっ♡ どうっ? 倉部くんっ」
「気持ちいい……ですよっ」

 その答えに嬉しそうにしながら、白石さんは腰使いを速める。
 白石さんは、声を抑える努力が段々出来なくなってきていた。
 僕に覆いかぶさり一人で腰を振れば、体力を消耗するのは容易に分かる。喘ぎを我慢する余裕など無いのだろう。
 ならば。
 事前の言葉は破ることになるけれど、助太刀をすることにした。

「ちょ、倉部くんっ?」

 白石さんは困惑の声を上げる。なぜなら僕が、下から彼女のことを突き上げ始めたからだ。

「大人しくしてればいいのに」
「いや、女の子一人に任せっきりなんて、男が廃るし」
「それじゃ私が上位ってのが崩れちゃうんだけどなぁ」

 でも彼女の表情は何となく嬉しそうだった。僕の思いやりに、感謝の気持ちは持っているらしい。
 そこまで運動や体力仕事が得意ではない白石さん一人が腰を振り続けるのは大変だ。
 僕が手伝ってあげなくては。そう思っての行動だった。

「なんかこういうの、共同作業みたいだねっ」

 汗を額に浮かべながら白石さんは言う。前髪が海草みたいに張り付いていたけど、それでも美しさは損なわれていないのだから、見事な美貌と言わざるを得ない。
 僕と彼女の呼吸が混ざり合い、熱い吐息が虚空に溶けて消える。
 汗の臭いなど気にならなかった。むしろその分泌液が媚薬のように脳を興奮させ、射精欲が高まっていく。

「何の共同作業なの」
「何のって、夫婦の……」

 白石さんはそこまで言って、自分が口にした言葉の意味を理解したのか、口を閉ざして目を横に逸らす。

「誰が夫婦だって?」
「うるさいっ。集中しなさいよ」

 ちょっとからかうつもりで、僕は一気に腰を突き上げる。
 ぐんっと彼女の身体が持ち上がった。子宮口付近まで貫いたペニスの感触に、白石さんの声音が焦りを帯びた物になる。

「あっ、ああ、あぁっ! 馬鹿っ! 激し……っ」
「白石さんの身体が良すぎるから……っ」
「あぁっ、あんっ♡ あ、あ……っ」

 肌がぶつかり合う音がより強くなる。もう後先など考えぬほど、僕らは快楽を貪っていた。
 迫り来る絶頂。先に襲ったのは、白石さんの方だった。

「ううっ、あっ、んぁっ……くぅぅっ……♡」
「うぐっ。うあっ、ああ……っ!」

 痙攣する膣の中で、僕はびくびくと精液を放っていた。
 ゴムの薄い膜を灼熱でいっぱいにして、孕ませるくらいのつもりで容赦なく射精する。
 唐突に、僕の唇が奪われた。
 白石さんの唇が僕の唇と重なっていた。驚く暇も無いほど素早く、十分な粘膜を持った口内の舌を僕は受け入れさせられる。
 伝わってくる唾液。いや、最早汗なのか唾液なのかすら識別が付かなくなっている。
 彼女の舌の瑞々しさを感じながら、僕はそれを受け入れていた。白石さんは僕の下唇を執拗に吸い、歯で軽く食んで丹念に舐る。
 僕もそれに答えるかのように、彼女の唇に思う存分吸い付く。
 射精が終わっても、僕らはキスを続けていた。火照った身体を持て余すかのように。
 相手の唾液を補給するかのように、お互いの口内を舌で犯して愛し合っていた。
 やがて気が済んだ僕らは、口付けを解いて身体の結合も解く。
 ゴムの中にはやたらと濃密な精液がたっぷりと溜まっていた。これが白石さんの中に入ってたら妊娠確定だろうなと思わせるほどの、見事な精液だった。

「あー……喉渇いて死にそう……」

 白石さんは鞄の中から、この家に来る前にコンビニで購入したスポーツドリンクを呷る。
 普段なら上品に口付けをしそうなものだが今回は実にいい飲みっぷりで、本当に喉が渇いていたんだなと僕は思った。

「はい。倉部くんもこれ飲む?」
「え、僕も?」
「熱中症で倒れちゃうよ? 残り全部飲んでいいから」

 ありがたく頂くことにする。ペットボトルを受け取った僕はその中身を勢いよく飲み干した。温くなっていたけど、美味しい。
 間接キスだということに飲み終わってから気が付いたけど、もうそんなこと今更過ぎるので気にしない。

「……どんどん深みに潜っていってる気がする」

 白石さんは汗だくの身体をタオルで拭きながらそう言った。
 確かに、こんなに濃密なものをすることになるとは思わなかった。
 非健全な関係を突っ走ってしまっていることに、風紀委員の彼女は何を思うのか。

「……あんまり上位になれなかったかも」
「まあ、初めてだし仕方ないよ」
「でも、倉部くんとシンクロしてるみたいで、良かったかも」
「もっとシンクロする? ゴムはまだあるけど」
「……獣みたいだけどあんなに気持ちいいの体験した直後にそれはずるくない?」
「ずるくは無い。やる? やらない?」
「……倉部くんがやりたいなら付き合ってもいい」

 素直じゃないな。
 でも、そういうところが可愛くもあるんだけど。

 ……それから僕らは数時間、セックス三昧だった。
 汗でベッドのシーツがベトベトに張り付くくらい乱れて、色々な体位を試した。
 ゴムが無くなるまで。
 高校生の精力と気力に感謝だなと思いつつ、避妊具の切れた僕は眠りに落ちる白石さんを抱きよせた。
 今日は疲れたなと思いつつ、僕も目を閉じる。
 疲れた身体と心の中で、僕は白石さんに感謝する。
 気持ちよくしてくれようと頑張ってくれて、ありがとう……と。
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